<波止FISHING>

 ハネのベストシーズン(初夏)を前に、釣況を確認しようと27日、数、型ともに実績が抜群に高い大阪・岸和田の波止へ出掛けた。春木港の「山田渡船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で午前7時すぎから沖一文字波止へ渡り、泉州ハネ釣り研究会会長・今中毅さんのエビまき釣りを見学。水温の上昇が遅れているせいで同9時前までに45、48センチだけだったが、潮止まり前後の時合を逃さない見事な攻めを見た。水温が上昇してくるこれからはハネの活性がぐんと上がり、数釣りが本番を迎える。

 午前7時前、春木川河口に到着。山田渡船の事務所で「今中さんが沖一文字北側でサオを出している」と聞き、向かった。今中さんはハネ釣り歴40年のベテランで岸和田の波止を知り尽くしたエビまき釣りの名手。

 釣況を聞くと「ハネ釣りは潮の見極めが大事。早朝は満潮前だったのでまきエがたまる波止際を狙った」との説明。会員の岩田直也さん(枚方市)がセイゴを4匹、徳山秀信さん(大阪市)は47センチのハネ、今中さんは45センチを仕留めていた。「今は満潮でハネの食いが止まっている。下げ潮待ちだよ」と話す。

 時合待ちの間に今年のハネの状況をうかがうと「春の異常気象が続き水温が低い(水温13度)ために、ハネの活性がなかなか上がらない感じ。天候さえ安定すれば浅ダナで活発なエサ追いを始めるだろう」とのことだった。

 次にハネ釣りのコツをたずねると「シラサエビのまきエをしっかりと効かせること。そして、段シズを打った短ハリスの仕掛けでまきエのタナをダイレクトに狙うことが大事。この釣り方だと明確なアタリが出ますよ」と教えてくれた。

 同8時半ごろ、下げ潮が動きだした。シラサエビをたっぷり詰めた底まき器で狙いのタナ(5ヒロ)でまく。「下げ潮は、まきエが集まる、かけ上がりでハネを食わせる」。刺しエのシラサエビも1投ごとに替えながら生きのいいもので打ち返す。すると、数投目にウキがスパーッと海中へ。

 サオを絞り込む引きをかわし48センチをタモに収めた。お見事。その後は残念ながら追加はなかったが食いが渋い中、的確な潮読み、攻めの釣りで獲物を仕留めるベテランの技が光った。今中さんは94センチのスズキを11年に同一文字で仕留め本紙の「月桂冠杯・魚拓大会年間優秀賞(スズキの部)」を獲得している。「あのときの強烈なバトルは忘れられない。波止を走り回って必死で取り込みました。長年、エビまき釣りをしてきたご褒美をもらった気分でした。これからの好期にさらなる大物を狙います」。短時間ながらしっかり獲物を仕留め、同9時前、笑顔で沖波止をあとにした。【中村和嗣】

 【今後の見通し】ハネは水温が17度前後になると食いが最も良くなり、2ケタ釣果が期待できる。初心者は浅ダナで小型の数釣りが楽しめる中波止がお勧め。型狙いなら、旧一文字波止の赤灯台、白灯台周辺や沖一文字波止の北側が良い。満潮から下げに変わるタイミングに一番食いが立つ。

 【問い合わせ】山田渡船【電話】072・436・3949。渡船料金は大人2000円、女性、小人(中学生以下)1000円。出船は午前4時半から。納竿の最終は午後7時。季節により変動するので同渡船に要確認。仕掛け、エサ常備。

 【交通】南海本線・和泉大宮駅下車、徒歩約20分。同春木、岸和田駅からタクシー利用が便利。車は阪神高速湾岸線の岸和田北ICから臨海線へ出て南下。新港町の交差点を右折して同渡船の駐車場へ。