<フィッシング・ルポ>

 ぎょろ目のとぼけた顔ながら高級魚アマダイが神奈川・相模湾で釣れている。腰越「森健丸」では、40センチオーバーの大型を含めて2ケタ釣果も出た。そこでアマダイ未経験の3人に挑戦してもらった。何が飛び出すか楽しみな水深90メートル。江の島に見守られ、富士山を背景に気持ちよく釣りました!

 おいしい食べ方も紹介しまぁ~す。

 夜明け前の腰越港。車の釣り客は、港関係者に「はい、そこ左曲がって、奥の方まで行ってねぇ~」と案内される。フレンドリーな雰囲気が漂い、乗船前から気分が盛り上がっていく。本来はヤリイカが主流のなのだが、ちょっとだけ遅れている。その代役ではないがアマダイが好釣なのだ。もう今年は9月中旬から2ケタ釣果が出ていて、今現在も継続しているのだ。

 そこで、アマダイ未経験の3人に乗船してもらった。クロダイ釣りが得意な曽根啓司さん(50)、海釣りが大好きな折坂聡彦さん(35)、本紙レイアウト担当で東北支社勤務時代は釣り担当で腕を磨いた沢野健太記者(39)が乗り込んだ。

 この日は快晴。富士山と江の島のコラボ写真も撮影できるほどの絶景の中、サオを出した。釣り方は簡単。水深80~90メートルの底まで仕掛けを落とし、ハリス分を巻く。あとは待つ。ひたすら待つ。森健丸の新倉知船長(51)は「へたに誘ったりすると警戒して食わない。船の揺れに任せて誘うのがいいね」とアドバイス。

 船中ではベテランの石橋三郎さん(80)と小原庄治さん(67)が最初の投入で立て続けに30センチオーバーを連発した。「やる気でてくるねぇ」という曽根さんのサオ先がピクンッ、と反応した。我慢して待つとキューン、と絞り込んだ。巻き上げると30センチ前後のきれいなアマダイだった。「最初のアタリが軽い。難しいね」と曽根さんは首をひねりながらも喜んだ。

 その後もヒメコダイ、小さいヒラメ、キダイなど外道が掛かるにぎやかな釣りが展開された。沢野記者のサオがしなった。「明らかに違う。重みを感じた」と40センチ近い良型を釣り上げた。「うれしい。巻き上げてくる途中でグングンとはねる。面白いです」と声を張り上げた。

 折坂さんは30センチ前後を1匹釣り上げた直後に激しいアタリを食らった。魚はピンク色ではなくシルバー。シログチだった。「でも、引きは堪能できた。本命には恵まれなかったけど、何がくるか分からない楽しさは堪能できた」と笑った。

 最終的に小原さんが40センチ級を2匹を含む7匹でトップ。初挑戦の3人は全員2匹、おいしい外道のシログチ1匹とおそろいの釣果だった。愛嬌(あいきょう)のある顔をしたアマダイに「これはもう1度こないとね」と声をそろえていた。【構成=寺沢卓】

 ▼宿

 腰越「森健丸」【電話】0467・32・2126。アマダイ釣りは午前7時出船で、エサ、氷付きで9000円。帰港は午後2時前後。要予約。ほかにヤリイカ釣りも出漁中。定休は第1と第3木曜。有料駐車場(1日500円)あり。

 ▼仕掛け

 片天ビンでオモリは50~60号。ハリス(3号)全長は2メートル前後の2本バリ。ハリは丸カイヅ13号。コマセはまかずに付けエサのオキアミだけで勝負する。