<筏カセFISHING>

 春の好ターゲット・乗っ込みマダイが釣れだした南紀・串本大島の湾内へ8日、良型を求めて出掛けた。早朝から「大裕丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)のカセに乗って2本ザオで挑戦。午前中の込み潮は完全フカセで食いをとらえ30~45センチのマダイを3匹、午後の下げ潮では天秤仕掛けにアタリが集中し、午後3時前までに52センチのマダイに加え、62センチのコショウダイも仕留めた。乗っ込み本番へ向け好感触を得た釣行だった。

 ズボ釣りと完全フカセの二刀流で乗っ込みマダイを仕留めようと、午前7時前、港から10分ほどの養殖イカダに掛けてあるカセに乗った。水深は約25メートル。まずは天秤フカセのコマセカゴにオキアミを半分ほど入れ、仕掛けを投入。オモリが底に着くと、糸を8メートルほど引き上げてアタリを待つ。

 完全フカセは港方向への流れにまきエと刺しエを同調させ、40メートルほど流し込むことを繰り返す。すると同8時すぎ、35メートルほど仕掛けを送り込んだ辺りで糸がシュルシュルッと音を立てて勢い良く引き出される。

 完全フカセはこの食いアタリがたまらない。合わせると頭をゴンゴン振るマダイの手応え。ポンピングで一気に浮かせたのは乗っ込みのきれいな桜色の魚体をした45センチのマダイだった。

 その後は、まきエの帯がマダイの群れをとらえ30~35メートルほど糸を出したところで30、33センチが連続ヒット。しかし、同9時すぎに込み潮が緩みだすとアタリがなくなる。今度は、ズボ釣りを中心に仕掛けを打ち返し、まきエをきかせていくが反応がない時間帯が続く。

 状況が好転したのは潮が下げだした午後1時すぎ。それまで何の変化もなかった天秤仕掛けのサオ先がガンガンと海中へ。沈黙を破って突然、来たアタリに興奮。サオを起こし沖へ走る引きをロッドで受けとめながら仕留めたのは抱卵した52センチの良型マダイだった。

 そして直後にまたも天秤フカセのサオ先がズドンと海中へ。重量感ある引きで糸がジリジリと引き出されるが、獲物との距離を慎重に詰めながら取り込んだのは62センチのコショウダイだった。この魚を釣ったのは初めてで感激。串本の湾内は魚種が豊富なのも魅力だ。

 結局、このアタリを最後にエサがなくなった同3時前に納竿。マダイ、コショウダイともに、刺し身とムニエルにして食べたが、身が引き締まっていて、脂がほどよく乗った甘みのある身が最高にうまかった。【日刊FPC・兵頭良弘】

 【今後の見通し】桜の咲くころにマダイの乗っ込みが最盛期を迎え50~70センチの食いが活発になる。また、水深10~15メートルの浅場では水温の上昇に伴い40センチ前後のグレが2ケタ狙え、他にもシマアジ、メジロ、ヒラメ、アオリイカなど多彩な魚が釣れる。事前に渡船店に釣り方、狙う魚種を相談しておくと的確なアドバイスでカセを選択してくれる。

 【問い合わせ】大裕丸【電話】0735・65・0603。カセ料金1人6000円(女性は5000円、小学生以下は無料)。弁当予約可能。貸しザオ、氷、エサ常備。年中無休。出船は午前6時半ごろ、納竿は午後4時(季節によって変動する)。長さ7メートル、幅2メートル~同13メートル、同3メートルのカセが全部で22隻。全てトイレ付き。

 【交通】JR紀勢本線・串本駅下車、タクシーで約10分。車は阪和自動車道を利用し南紀田辺ICを出て国道42号を南下。串本町へ入り、くしもと大橋を渡って突きあたりの三差路を左折。大島港方面に走り、大裕丸の渡船場へ。