<フィッシング・ルポ>

 残り1日の大逆転だった。第1回磯メジナ静岡・伊豆半島ダービーが今月15日、終了した。3カ月のロングランイベントで、メジナ3匹の全長の合計で審査した。優勝は14日、南伊豆・大瀬「倉の下」から出漁し、45・7センチを釣り上げた唐沢淳一さん(47=藤沢市)で、21位から一気にトップを奪った。2位とはわずか2ミリ差の131・2センチだった。71人が釣果を記録したダービーを振り返る。

 唐沢さんは親友の戸原直さん(55)万里子さん(49)夫妻と14日に勘太郎に渡った。サオを握って1時間半、直さんのサオが曲がり35センチをゲットした。このとき、「まだ下にデカいのがいる」と確信し、気持ちを集中させていたら45・7センチを釣り上げた。

 藤沢市に住む唐沢さんは、大瀬で釣りをするときは東伊豆町在住の戸原さんの自宅を“基地”とする。今年は釣り日程を組むと、風が吹いて、海が荒れた。ダービーに出場できたのは、今月9日で、44・4センチ、41・1センチなどを釣り上げて初登場は21位につけた。

 エサ取りが少なく、メジナしか釣れなかった。唐沢さんは「地合いがあって釣れる時間が決まっている。40センチ以上の大物がキャッチされると、しばらく何も釣れなくなる。だから直さんが小さいメジナを釣ったのを確認して、大物を待ってみた」と振り返った。

 “いそうろう”に優勝をさらわれた戸原さんは「ダービー終盤に来て、ちょっとテンションが下がっていた。唐沢さんに引っ張られるように釣りにいった。そうしたら僕ら夫婦にもアタリが出るようになった」。直さんが5位、万里子さんは8位だった。

 準優勝の杉崎伸張さん(61=小田原市)と3位の大須賀隆さん(60=塩尻市)は、ともに西伊豆・雲見「佐市丸」から出漁した。長野県から片道5時間かけて訪れた大須賀さんは「今シーズンはタナが深い」と思った。例年のタナはサオ1本分(5メートル前後)だが「1本半から2本ぐらいの深さでヒットした。潮が遅れた影響なのか…それはいいとして、このダービー形式の大会は面白いですね」と大須賀さんは話した。

 1カ月7回ペースでサオを握っていたのは南伊豆・石廊崎「橋本屋」から出漁した松平光央さん(41=多摩市)。3月24日には45・9センチを釣り上げた。「これね、伊豆半島では自己記録なんだ。元日にも40センチ超を釣り上げた。今年は何かいける予感があった」と松平さん。

 今シーズンは、準備期間があまり取れない中でダービーを開催。来シーズンは前倒しして、今年12月から会期をスタートさせる案も出ている。開催した3地区の代表と話し合い、さらに楽しいメジナダービーにする予定です。【寺沢卓】

 ▼ルール

 期間は1月15日~4月15日。対象魚はメジナ。35センチ以上を計測し、3匹までの全長の合計で順位を決める。同長の場合、最大魚の大きい方が上位。すべてが同じ場合は、年齢が上のものを上位とする。今シーズンは40センチ超が多く、平均40センチ超となる120センチ以上は釣果のあった71人中29人。1位の唐沢さんには名前刺しゅう入りの特製ブルゾンほか豪華副賞が贈られる。2~10位にも賞品がある。以下は15位、25位、35位、45位、50位にも飛び賞が贈呈される。◆磯メジナ伊豆半島ダービー結果

 上位10位成績

 (1)唐沢淳一(47=藤沢市)131・2、(2)杉崎伸張(61=小田原市)131・0、(3)大須賀隆(60=塩尻市)130・8、(4)佐藤昌之(53=江東区)130・4、(5)戸原直(55=東伊豆町)129・5、(6)松平光央(41=多摩市)129・4、(7)紫葉繁(48=横浜市)129・2、(8)戸原万里子(49=東伊豆町)129・0、(9)高橋新吾(49=藤沢市)128・7、(10)大沢雄一(41=小金井市)128・1。※順位、名前(年齢=住所)3匹合計の全長(単位はセンチ)の順。