<磯FISHING>

 G杯チヌの歴史が動いた!

 南康史選手(45=推薦)が史上初の4勝を為し遂げた。チヌ(23センチ以上)の総重量を競う「第33回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」(主催・(株)がまかつ)が9月8、9日、岡山・倉敷市下津井の磯を舞台に全国の予選を勝ち上がった47選手(シード、推薦含む)が参加して行われた。2日目の決勝戦は「本島のジョウゴ」で2時間戦い、南選手が波多瑞紀選手(34=今治沖1)を圧倒する2860グラム対0グラムで見事、優勝。3位には、中西毅選手(46=シード)が入った。

 南選手が得意のなぎさ釣りで圧倒的な強さをみせつけた!

 決勝戦の開始10分、いきなり40センチ級を仕留め、37分で30センチ、40分後には潮筋に浮かせた46センチを食わせ、その重量感から「優勝を確信」。サオを弓なりにしならせる度にギャラリーの視線をくぎづけにした。

 決勝戦の舞台は、シモリが点在し、約30メートル沖にかけ下がりがある本島のジョウゴ(砂浜)。ジャンケンに勝った南選手は右端に入り、軽い全遊動仕掛け(タナはハリの重さで調整)で左斜め沖へ流れる、本流の引かれ潮を的確にとらえた。

 「まきエと刺しエを出来るだけ遠くまで同調させるイメージで釣った」。潮筋を外さない自重があるダルマ型の自作ウキを刺しエよりも先行させて流し、その後方からまきエを断続的に投入。張らず緩めずのラインコントロールで底から少し上に浮くチヌを狙った。

 「掛けた魚を確実に獲るためにテストを繰り返した」吸い込みのいいハリでチヌをしっかりとハリ掛かりに持ち込み、3匹対0匹で場所交替。後半も潮位が下がるにつれ、立ち位置を右に変えながら、左斜め沖へ流れる引かれ潮に、仕掛けを流し込み25センチを追加。

 自分の釣りに徹し、シモリ周りをていねいに攻めた波多選手に4匹(2860グラム)対0匹で圧勝。貫禄の釣りで8年ぶりに4つ目の優勝カップを手にした。

 南選手がフカセ釣りを始め、G杯を目指したきっかけは20年前に松田稔氏(G杯チヌ3勝の、がまかつテクニカルアドバイザー)が活躍するビデオを見たり、本を読んだことだった。

 そんな、あこがれの松田氏を超え、「夢みたいです。G杯の歴史を塗り替えることができてうれしい。これからも、みなさんの見本となれるような釣りをしていきたい」と、南選手らしいおごりのない、少年のような笑顔で精神面、技術面のさらなる向上を誓った。【近江康輔】

 <経過>

 下津井の磯は流れの強弱、向きが刻々と変わるため、いかに潮の変化を的確に捉えるかで勝負が決まる。

 初日の予選リーグは午前5時半から47選手が8組に分かれ、下津井沖一帯の磯で1試合2時間の4回戦を戦った。場所ムラはあったが、マダイまじりでチヌが順調に釣れ、8選手が決勝リーグへ。昨年の覇者・沖永吉広選手は「攻め急いでしまった…」と敗退した。

 翌日の決勝リーグは午前5時半から同沖で1試合2時間の3回戦を戦った。エサ取りが活発になり、流れも速く、釣りづらい中、1組は2勝0敗1分けで南選手が、2組は3勝0敗で波多選手が勝ち上がった。

 決勝戦は午後1時10分から「本島のジョウゴ」で2時間戦い「潮に恵まれた」という南選手が波多選手に圧勝。3位決定戦は中西毅選手と小川達矢選手(今治沖1)が「ジョウゴの西」で戦ったが互いに釣果なし。決勝リーグの成績により中西選手が3位に入った。

 ◆南康史(みなみ・やすし)1969年(昭44)2月4日生まれ45歳。倉敷市在住。会社員。G杯チヌ第18回、第19回、第25回(兵庫・家島諸島)、第33回(岡山・下津井)優勝。チヌ釣り歴約20年。がまかつフィールドテスター、clubG’s会長、名釣会所属。ホームは瀬戸内海全域。