小池百合子都知事の後継を選ぶ衆院東京10区は23日、投開票され、小池氏が支援した自民党の若狭勝氏(59)が勝った。小池都政に事実上の「信任」を得た小池氏は、改革推進に意欲を示したが、投票率は前回を大きく下回った。今後は、党東京都連から離党勧告を受けた小池派の区議7人の処分が焦点。党の対応次第では、小池連合VS自民の対立が再燃する。

 「小池劇場の総仕上げだ」。投票締め切り直後、当確が出た若狭氏に、事務所で歓声が飛んだ。若狭氏は「小池知事のもとで生まれた流れを、国政に取り込みたい」とあいさつ。祝福に訪れた小池氏は、「低投票率が心配されたが、立派に勝ち抜いてくれた」とねぎらい、「引き続き、東京大改革を小池百合子に前に進めろと(いうこと)。地域は若狭さんに任せよと決断をいただいた。しっかり連携したい」と、強調した。

 補選は、若狭氏を後継指名した小池氏、小池都政への「信任投票」でもあった。連日、問題山積の都政の中で、小池氏は12日間の選挙期間中、7日、応援に入り、選対会議にも頻繁に顔を出し、指令を出した。「選挙は世論」(小池氏周辺)が持論。補選でも圧倒的支持を得ることが、自身の都政運営に直結するとみて、「圧勝」にこだわった。

 圧勝の目的はもう1つ。都知事選で小池氏を支援し、若狭氏と対照的に都連から離党勧告処分を受けた小池派の区議7人の処分見直しへ、「説得材料」が必要だった。小池氏は「7人のサムライは必ず守る」と明言。選挙戦最終日、「7人は、この戦いに大きな役割を果たした」と強調した。

 現状では、今月30日までに離党届を出さないと7人は除名。小池氏との関係悪化を避けたい党本部が、処分緩和を働きかける可能性もあるが、区議の1人は「まったく処分がなかったことになるか、すねに傷がある状態が続くのか、見極めたい」とけん制した。

 党本部とは関係修復に動いたが、小池氏側と都連の亀裂は深い。補選は別々の体制で戦い、この日、下村博文・都連会長は事務所に現れなかった。今は強固な小池都政の足元だが、不透明感は残る。【中山知子】