東京都知事選で小池百合子知事を応援し、自民党東京都連から離党勧告処分を受けた同党の区議7人について、下村博文都連会長は30日夜、処分の判断を先送りすると表明した。7人は同日を期限とした離党届提出に応じなかったが、下村氏は小池氏の要請を受け、まず7人の話を聞く意向を示した。この日、「小池新党」の核となる可能性がある小池政治塾の開講式に、2902人が参加。「数の力」は無視できず、小池氏との完全決裂は避けたい自民党の思惑も垣間見える。

 自民都連が、離党届を出さなければ除名もあり得るとしていた、提出期限の30日。「7人のサムライ」の処分は、先送りされた。

 同日夜、党本部で都連幹部による協議が1時間半、開かれた。終了後、下村氏は「勧告に従わなければ、今日をもって除名とする決定の日」としながらも、「7人の話を聞き、処分の執行の時期を考えることになった」と述べた。「都連の処分を覆すのではない」としながらも、処分はいったん保留に。他の幹部から異論も出なかったという。

 背景には、小池氏の働きかけがあった。下村氏は、小池氏から29日に「7人の意見を聞いてほしい」と電話があったと明かした。二階俊博幹事長にも「丁寧な対応があった」といい、「こちらも聞く耳を持っていいのではないか。無視するのも(7人が)かわいそうだ」と述べた。近日中に7人と面会するという。

 この日、サムライ区議の1人、本橋弘隆・豊島区議は、「離党届は出さない。都知事選で小池知事を応援した時から覚悟している」と明言。除名の覚悟を示し、離党届提出には応じない強硬姿勢を示した。しかし、下す側の党が処分を先送り。ちぐはぐな対応だ。

 小池氏周辺は「7人は小池知事誕生の貢献者。除名の理由はない」と指摘。都連内では「おとがめなしなら、何のための処分か分からない」(関係者)と、処分を求める声も根強い。

 ただ、7人を除名にすれば、衆院東京10区補選を党公認で勝った若狭勝衆院議員の「ドミノ離党」を招く可能性がある。自民党と小池&若狭&サムライ区議の決裂は、決定的になる。

 小池氏との対立が解けない都連と対照的に、党本部や安倍晋三首相は、無用な対決は避けたいのが本音。小池氏側と完全決裂すれば、党が恐れる「小池新党」への動きが加速すると、警戒感もある。

 都知事選で291万票を獲得した小池氏の「数の力」に、おびえる自民党。究極の判断を迫られそうだ。【中山知子】