トランプ氏が“ファミリー偏重”の人事を発令した。米次期大統領のドナルド・トランプ氏(70)は11日(日本時間12日)、閣僚などを選ぶための政権移行チームを刷新。メンバー16人の中に、2男1女の実子3人と義理の息子を加えた。4人は30歳代と若い上に、不動産王の父親と関係が深い実業家で、米メディアからは批判の声が上がっている。チームのトップは次期副大統領のマイク・ペンス氏(57)。

 11日のトランプタワーのロビーは、閣僚候補を招き入れる舞台のようだった。トランプ氏の長男ドナルドJr氏(38)、長女イヴァンカ氏(35)、次男エリック氏(32)、イヴァンカ氏の夫ジャレッド・クシュナー氏(35)が現れ、大量のフラッシュを浴びた。

 トランプ氏はトランプタワーにこもり、側近と人事構想を練ったとみられる。ツイッターに「政権運営を担う人材に関する非常に重要な決定を間もなくする」と投稿。約70日後の新政権発足へ、閣僚や省庁幹部らの選定が最終段階にあることを明らかにした。

 人事選定のカギを握る1人は、義理の息子クシュナー氏だ。政権移行チームの代表だったクリスティー・ニュージャージー州知事が副代表に退いたのも、同氏の意向との見方がある。トランプ氏と旧知の不動関連企業経営者を父に持ち、ニューヨーク大でMBAを取得。在学中に不動産取引で得た利益で、地元週刊誌を買収。12年には大リーグ、ドジャースの買収に名乗りをあげたやり手経営者だ。

 同氏は10日、ホワイトハウスを訪れたトランプ氏に帯同。大統領補佐官など要職に就くとの見方がある。

 妻のイヴァンカ氏は、ペンシルベニア大ビジネススクールを首席で卒業。父の不動産会社の副社長ながら元モデルの美貌で、次期駐日大使との呼び声もある。

 不安があるのは、トランプ氏の長男と次男だ。ドナルドJr氏は今年、シリア難民を毒入り菓子に例えるメッセージをツイッターに投稿、物議を醸した。趣味は狩猟で、エリック氏とアフリカに出かけ、捕獲した野生動物の死体の写真を公開し、批判された。

 トランプ氏は大統領就任後、自身の財産を実子3人が運営する金融機関に委託することを明かしており、今回の人事に米メディアは批判的だ。「メンバー間で利害が対立する可能性がある」などと報じている。