仕事始めの4日、東京都の小池百合子知事(64)は、今夏の一大決戦・東京都議選に向け、正月に策を練ったことを明かした。24年前の93年都議選は、日本新党の選対本部長として采配し、躍進につなげた張本人。当時の候補者擁立など、戦略に思いをはせた可能性がある。小池氏は都議選で、主催する政治塾などから、30~40人を擁立する方針。都議会最大勢力の自民党の「解体」を目指し、打倒「オールド自民」の闘いが、いよいよ始まる。

 「決意の断髪」なのか。年末よりも髪を短くカットした小池氏は、報道陣への「新春第一声」で、今夏の都議選に向けた戦略の一端を語った。

 きっかけは、正月休みの間に自宅で手がけたという資料整理。24年間の国会議員時代の資料に、最初に所属した日本新党時代のものも交じっていた。「だいぶ片付いたが、昔のものも出てきて思い出にふけって読んでしまった」と述べた。

 日本新党時代の資料に関し「候補者を選ぶのに、どこ(の選挙区)を誰にはり付けるなんて、昔もやっていたなあと思い出した」という。「いろんなことを参考にしながら、東京大改革を1歩1歩前に進める1年にしたい」と述べた。

 小池氏は日本新党の参院議員だった93年、選対本部長として都議選を仕切り、党の躍進につなげた。

 あれから24年。小池氏は今夏の都議選に、自身の政治塾「希望の塾」を中心に30~40人を擁立する方針。特に、「ドン」こと内田茂氏の地元・千代田区をはじめ、ベテランの選挙区を中心に、強力な刺客候補をぶつける方針。首都・東京の選挙は、そのときどきの「風」で、情勢が一気に変わる。小池氏は当時の資料を、今夏の戦いの参考にしたことをうかがわせた。

 候補者調整に関し、今や「親・小池系」ともいえる公明などとの住み分けを念頭に、「同じ選挙区に(小池氏系が)出て、つぶし合うことがないようにしたい。改革への真の志を確認し、時間があるようでないので着実に進めたい」と、作業を急ぐ方針も示した。関係者によると近く、第1次公認候補を発表する。

 「東京大改革を進める礎を築く重要な年。必ず都民の共感を得られる都政をつくりたい」とも述べた小池氏。自民党を最大会派から引きずり下ろして「親・小池系」で過半数を握り、都議会の主導権を奪うのが最大の目的だ。【中山知子】

 ◆93年都議選VTR 日本新党は92年、細川護熙氏が立ちあげた。同年の参院選で、細川氏やキャスターから転身した小池氏ら4人が初当選。93年都議選は、衆院選の前哨戦として注目され、初めて参戦した日本新党は、自民、公明に次ぐ20議席を得て一気に都議会第3党の座を獲得した。当時、選対本部長として采配を振ったのが小池氏。睡眠時間を削って全選挙区を応援に回り、躍進を受けた投開票日の会見では、「感想をひと言」と問われ「やったね」と、笑顔を振りまいた。小池氏はこの翌日、衆院選への鞍替え出馬を表明し、初当選を果たした。党も35議席を獲得して自民党は政権を失い、55年体制も崩壊。8月に非自民連立の細川政権が発足した。