免許を返したら、ええことあるで~。高齢者の事故が増える中、大阪は65歳以上が自主的に運転免許を返す免許返納率が14年から2年連続で全国1位。意外な数字? の裏には大阪府警と商店街がタッグを組んだ返納者へのユニークな割引サービスがある。

 大阪府警などで構成する大阪府交通対策協議会が作成した高齢者ドライバー向けのパンフレットの表紙で吉本新喜劇の座長・辻本茂雄(52)が劇中で演じるキャラクター「茂造じいさん」が「割引やプレゼントあるでぇ~」とアピールする。65歳以上が免許を自主返納すると、免許証の代わりに運転経歴証明書が交付される。この証明書を店舗などで提示すると、多彩な「特典」を受けることができるのが「自主返納サポート制度」だ。

 現在、大阪の同制度には府内の約1750店舗が参加し、30以上の商店街が加わっている。大阪府警運転免許課の担当者は「大阪をイメージさせる商店街に協力していただいているのが大きい。制度が広く知られるようになった」と分析する。

 南北約2・6キロと日本一長いといわれる「天神橋筋商店街」(大阪市北区)では商品購入時に1割前後の割引を受けられるほか、景品がもらえる店舗もある。終活関連もある。葬儀会社「五箇荘葬祭和田」(堺市)は「葬儀プランから5%引き」の特典を用意している。「相続安心サポートセンター」(大阪市北区)では遺言・相続・成年後見などの無料相談もある。

 特典が返納を後押ししている。大阪の65歳以上の免許返納率は12年に7118人だったが、昨年は最多の3万2061人。14年からは東京を抑えて2年連続で全国1位。昨年度の全国での順位は未発表だが、3年連続を狙っている。

 同府警の呼びかけで、昨年は同制度への参加は約400店舗も増えた。大阪府警運転免許課の担当者は「今以上にサポート制度の協力企業や店舗を増やし、返納しやすい環境づくりを進めたい」。「お得感」が高齢者の心をつかんでいる。【松浦隆司】