★24日、英紙フィナンシャル・タイムズが米中首脳会談で中国の習近平国家主席が日本の防衛力強化を「新型軍国主義」と指摘、首相・高市早苗を名指しで批判し、米ドナルド・トランプ大統領がかばったとの報道をした。これに対し、25日、中国外務省の毛寧報道局長は「中国は既に情報を公表している。中国が把握している状況と符合しない」と報道を否定した。同紙を読み直すと「習は声を荒らげて興奮した様子を見せ、米側の同席者を驚かせた。複数の関係者は同紙に、習の対日非難が2日間の会談で『最も緊迫した場面』だったという」とある。これを読む限り情報源はトランプ訪中団で、首脳会談に同席できる複数の米国上級幹部と見て取れる。
★ここからは2つのことが考えられる。25日、この習発言に対して官房長官・木原稔が「我が国の防衛の基本的な方針である専守防衛は不変だ。中国の主張は全く当たらない」と反論したが、トランプが高市をかばったことについての援護射撃と見るべきだろう。一方、中国は米国サイドからこれくらいの情報が漏れることは覚悟しながら「習は声を荒らげて興奮した様子を見せ」のくだりが看過できなかったのではないか。つまりそれぞれが1つの報道を巡り少しずつ違うポイントに反応したのではないか。
★ただ中国は直後に行われた中ロ首脳会談の共同声明で、ロシアと共に日本の軍国主義化への危機感を強い論調で表明しており、日本の軍国化や高市批判が米中会談で大きなテーマになったことは間違いなかろう。その習の冷静さを欠いた振る舞いや発言がクローズアップされるのは中国としては面白くない。そこを英紙に書かせたところがホワイトハウスの作戦だったのではないか。外交は表に出た情報以外が重要な場合がある。その真意を公開情報をつなぎ合わせて積み上げることが涵養(かんよう)だが、北京で立て続けに行われた中米、中ロ首脳会談の主要テーマが日本の軍事化の危惧と高市への批判となれば、官房長官の反論程度では済まされないだろう。来月14日から開かれる仏・エビアンサミットでは欧州からどんなことを高市は言われるのだろうか。(K)※敬称略


