女性が意に反したAV出演を強要される「AV出演強要問題」。被害者支援団体に寄せられる相談は年々増えている。

 昨年7月に設立されたAV女優や男優らの団体「表現者ネットワーク(AVAN)」代表を勤める元AV女優で作家の川奈まり子氏は、出演強要問題について「当然、1件でもあってはならないこと」と話した。AVANは「表現者が意志に反して出演を強いられることは、絶対に許されません」と声明を出し、昨年6月から「知的財産振興協会(IPPA)」などと協議を重ねてきたという。

 川奈氏によると、正会員は女優や男優ら約60人。プロダクションやメーカーは入っておらず、資金はクラウドファンディングで調達。女優側が違約金で脅されて強要被害を受けることがないよう、プロダクションやメーカーより女優側に主導権を持たせた契約書モデル作りを進めているという。

 一方で、「ヒューマンライツ・ナウ(HRN)」などの規制派と協力して問題に取り組む状況には至っていないのが現状だ。川奈氏は「強要被害はあってはならないが、議論の前提に疑問点もある。自発的な表現者が出演するすべてのAVを犯罪と捉えられたり、すべてのAV女優の撮影での表現が売春であるかのように捉えられるなら、差別が助長される危機感がある」と話した。