若手弁護士とのダブル不倫疑惑で、民進党を離党した山尾志桜里衆院議員(43=愛知7区)は22日、騒動後初めて地元で会合を開き、次期衆院選(10月10日公示、22日投開票)に無所属で出馬する意向を表明した。「厳しい戦いだが、ゼロから再起を期す。個人として安倍政権と戦う」と戦闘宣言したが、7日の離党届提出時と同様、報道陣の取材には不倫疑惑の詳細を語らず、説明責任は有権者に果たすと主張。疑惑の払拭(ふっしょく)には遠い「再始動」となった。

 地元での「おわび行脚」初日。山尾氏は尾張旭市など3カ所で支援者との会合を開いた。不倫疑惑報道を「一切ありません」と否定し、不倫が報じられた倉持麟太郎弁護士の家族や自身の家族に謝罪。「自分の未熟さを心からおわびしたい」と述べ、無所属での衆院選出馬に理解を求めた。

 衆院選は憲法問題が争点の1つになるとして「憲法で安倍政権と対峙(たいじ)させてほしい。個人として安倍政権と戦う選挙だ」と、“ジャンヌ・ダルク宣言”。自らを「総理の天敵」と言い、「無所属の挑戦に力を貸してほしい。10年の活動の通信簿をつけてほしい」と述べ、不倫疑惑の是非の判断は、地元の有権者に託す意向を強調した。

 会合は一部が非公開。その後、7日の離党届提出後初めて取材に応じた。「(不倫)報道は事実でなく、離党に葛藤があった」と述べ、質問を受けなかったのは「さまざまな葛藤を、少ない時間で決断」した経緯があったと説明。地元入りの遅れは報道に伴う混乱を挙げ、一部で離婚危機と報じられた夫には、「支えてもらっている」と述べた。

 ただ、不倫疑惑の詳細は一切説明しなかった。「自宅があるのになぜホテルに泊まるのか」「既婚男性との密会は、法律家として不貞行為か」。厳しい質問が相次いだが、「新たな主張をするのは控えたい」と述べるにとどめた。出版社への訴訟の意向も。「今は地元の声を聞くことにすべてのエネルギーを集中したい」と、けむにまいた。

 国政選挙4度目で、初の無所属。「今の状況で、無所属の挑戦は相当厳しい。過去と比較にならない厳しい風を受ける」と認めた。熱烈な支援者には激励されたが、前回11万3474票を投じた有権者の理解を得るには、時間が限られる。「説明責任をどの程度果たしたと思われるか。当選すればみそぎが終わるとは、思わない」。疑惑を持たれた政治家の説明責任の果たし方が、崖っぷちの衆院選で試される山尾氏。近く街頭に立ち、厳しい視線を受ける。【中山知子】