都知事と党代表の「二刀流」は、大丈夫なのか。

 東京都の小池百合子知事は12日、豊洲市場に移転した後の築地市場の跡地再開発を議論する検討会議の初会合を、都庁で開いた。豊洲移転&築地再開発は、小池氏が東京都議選直前に発表。築地再開発の具体案は、同会議の議論を経て決まる。キックオフとなるこの日の議論は極めて大事だが、小池氏はあいさつを終えると約1時間半の議論を最後まで見守ることなく、わずか7分で退席した。

 都職員は、「遊説の予定が入っている」と説明。その言葉どおり、約1時間後、小池氏は希望の党代表として神奈川県川崎市に入り、JR川崎駅前で公認候補と街頭演説した。

 小池氏は、序盤の情勢調査で、自民&公明が300議席を超える勢いである一方、希望の伸び悩みが報じられたことを踏まえ、「自公が300議席といわれている。ということは皆さん、このまま(安倍1強体制)でいいと、お許しになるんですか」と、約1000人の聴衆に逆質問。「反対~」の声を聞くと、「ここで、安倍1強政治の緩みをたださなければならないのではないか。今の安倍1強にノーと言えるのは、希望の党のみです」と訴えた。

 今回の衆院選に約700億円の経費が費やされることにも触れ、「理不尽な中で総選挙をするなら、(打倒安倍1強という)新しいチャンスにしようじゃありませんか」と訴えた。

 小池氏はこの日、都内と神奈川県内8カ所で遊説しつつ、公務をこなしたが、選挙戦中盤以降は、知事と代表の「二刀流」をこなす時間の割り振りが、困難を極めることも予想される。

 小池氏は、検討会議の冒頭あいさつで「(再開発の議論に)都庁一丸で取り組んでいる。民間の知恵とノウハウを生かしたい」と述べたが、心ここにあらずのような形での退席。「二足のわらじの1足を脱ぎ、片足(都政側)ははだしのようだ」と話す職員もいた。【三須一紀、中山知子】