政府が新型コロナウイルス対策として16日、所得制限を設けず全国民に一律10万円を給付する調整を始めた。東京・砂町商店街の買い物客からは、賛否両論の声が上がった。

医療関係に従事する50代女性は「もらえるのはうれしいけど、お仕事ができなくて本当に必要な人にとっては、10万円じゃ足りないと思う」ともどかしい思いを話した。3人家族で夫も仕事ができない状態だという。一律という決まりにも「なぜ一律なのか、なぜ10万円なのか根拠が欲しい」と具体的な説明を求めた。30万円が給付される可能性があるが、9歳の娘は「(任天堂)スイッチが欲しい」と笑顔だった。

近くの公園で子どもを遊ばせていた、40代主婦は二転三転する政府の給付劇に「このやりとりの決着は誰が付けるのか」と憤りをあらわにした。もろもろの対策が遅いと話し、その理由に「諸外国に比べ、死者率が低いことに安堵(あんど)しているのではないか」と話した。3人家族だが「この先が怖いので、30万円もらえたとしても、とりあえず取っておく」と慎重に話した。

一方、一律給付により給付対象になった60代男性会社員は「もらえるようになるのかもしれないけど、喜んで良いのかわからない」と困惑した様子。所得制限がなくなった理由を「マイナンバーの制度もうまく使えている様子がない。この現状ではできないのかな」と推測した。明日から給付が開始されるアベノマスクを引き合いに「マスク2枚よりは良いかな」と笑い飛ばした。

 

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◆これまでの経済対策の主な流れ

▼3月中旬 現金や商品券の一律給付案が浮上。同26日、自民党内から国産の「お肉券」「お魚券」商品券案が浮上するが批判殺到し見送り。

▼4月3日 減収世帯にのみ30万円の給付案をとりまとめる。

▼同14日 自民党の二階俊博幹事長が「所得制限つきで一律10万円給付」を求める。

▼同15日 公明党の山口那津男代表が「所得制限なしで1人10万円給付」を求める。

▼同16日 政府与党が所得制限を設けずに一律10万円給付する調整開始。