ジャーナリスト伊藤詩織さん(31)が誹謗(ひぼう)中傷のツイートに対して「いいね」を押され名誉感情を侵害されたとして、自民党の杉田水脈衆院議員(53)に220万円の損害賠償などを請求した訴訟の第1回口頭弁論(武藤貴明裁判長)が21日、東京地裁で開かれた。杉田氏側は請求棄却を求めた。杉田氏は出廷せず抗弁書を提出した。

伊藤さんは15年に元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(54)と会食後、意識を失い暴行を受けたと主張。準強姦(ごうかん)容疑で被害届を提出も、東京地検が16年に嫌疑不十分で不起訴とし、17年に東京第6検察審査会も不起訴相当と議決。そのことに対し、杉田氏は「自分が母親だったら叱り飛ばす」とツイートし、「ハニートラップ」「売名行為」などのツイートに「いいね」を押した。

冒頭陳述で、伊藤さんは「(杉田氏の発言は)私にとってはセカンドレイプ」と訴えた、その上で「『いいね』によって第三者の批判的、暴力的な言葉が拡散されていく」と指摘。「法律を変える力のある国会議員からのものだったことは衝撃、恐怖」と主張した。

また、訴訟を提起した翌月9月の自民党の会議で、杉田氏が「女性はいくらでもうそをつける」と発言したとして非難され、謝罪した件についても「被害を告白したいと思っている人を黙らせてしまう」と批判。「同じような過ちをしないで欲しいと心から願っています」と訴えた。

さらに「意識がないまま性行為をされていたため、私自身が被害の証明をすることは出来ません。今の法制度の下で裁いてもらうことが難しいのだと思い知らされた」と法制度の問題点を指摘。「発言によるセカンドレイプに対し、被害者がNOと言えるようになるよう向き合っていただけたら」と裁判所に求めた。【村上幸将】