ビワイチ(琵琶湖1周)を走りたくて、1000キロを制限時間75時間で走るブルベ(長距離耐久サイクリング)、ランドヌ東京主催の「BRM918東京1000いってこいビワイチ」に参加。9月13日の早朝に琵琶湖を目指して石和温泉を出発。初日は260キロを13時間半と予定より早いペースで走り、夕方に豊橋のホテルに到着。2日目は豊橋を午前1時半に走り出し、午前10時39分、ついに琵琶湖の入江橋にたどり着いた。石和温泉から411キロ、豊橋からは151キロの道のりだった。


「いってこいビワイチ」のコース
「いってこいビワイチ」のコース

琵琶湖、広いねぇ。水平線がくっきり。このあたりからは対岸は見えないよ。1周200キロだもんなー、当然か。すでに気温30度超となっていた暑さも忘れ、ひとしきり感動。写真を撮りまくり、反時計回りに北へと走り出す。さぁ、ビワイチ200キロの始まりだ。


14日午前10時49分、滋賀・ビワイチの道標
14日午前10時49分、滋賀・ビワイチの道標
14日午前11時16分、滋賀・長浜付近の琵琶湖
14日午前11時16分、滋賀・長浜付近の琵琶湖

琵琶湖東岸は大津市から長浜市木之本町までをつなぐ「さざなみ街道」を走る。どこかで聞いた名前だと思っていたら、広島の呉から尾道までの瀬戸内海沿岸を走るサイクリングロードもそう呼ばれていた。ただし、あちらは「街道」ではなく「海道」。


しばらく走ると秀吉の出世城といわれる長浜城があり、この付近から交通量がガクンと減り、信号もほとんどなくなり快適にスピードを出せる区間となった。しかし、前日同様に気温はぐんぐん上がり、この日も35度を超える猛暑日。湖岸の道路は日陰もなく、耐久ライドの様相を呈してきた。あまりの暑さにメシを食べる気にもならない。コンビニは見当たらず自販機もほとんどない道中では道の駅での補給が頼り。だが、近江牛のハンバーガーなど魅力的なメニューがあったにも関わらず全く食べる気にならず、ここまで2軒あった道の駅では水分とソフトクリームを補給しただけだった。


14日午前11時25分、滋賀・長浜城
14日午前11時25分、滋賀・長浜城

ビワイチはサイクリングロードとしては自転車・歩行者道が低速コース、車道が上級車向けの高速コースという色分けになっていた。自転車・歩行者道は広く歩行者との境もあるのだが、路面が悪かったり、工事で通れないとか、消えてしまうとか200キロもあれば様々な状況となるので全て快適ということではなかった。特に西岸は自転車・歩行者道はほとんどなかったような気がする。


14日午前11時28分、滋賀・長浜付近。車道が上級コース
14日午前11時28分、滋賀・長浜付近。車道が上級コース
14日午前11時28分、滋賀・長浜付近。自転車・歩行者道が低速コース
14日午前11時28分、滋賀・長浜付近。自転車・歩行者道が低速コース
14日午前11時31分、滋賀・長浜付近。日陰のない道が続く
14日午前11時31分、滋賀・長浜付近。日陰のない道が続く

車道側はグリーンのラインが引いてあるが、これはコースを明示しているだけで自転車道として確保されているわけではない。確保されていたのは「サイクリストの聖地」があるなぎさ公園前後などほんの一部。路肩は狭く、交通量の多い区間ではかなりストレスがたまる。路面や通行状況を見ながら自転車・歩行者道と車道を走り分けた。


さざなみ街道が終わり、奥琵琶湖へ入ると雰囲気が一変。琵琶湖の絶景を見ながら桜並木が続く細い道を進み、小さなトンネルをいくつか抜けると海津大崎港に出る。海津大崎の桜は「日本のさくら名所100選」にも選ばれ、約800本のソメイヨシノが約4キロに渡って続く。この日は静かだったが、桜の季節はお花見船が出るらしく、賑わいを見せるのだろう。


14日午後0時45分、滋賀・長浜付近。琵琶湖の北は交通量も減ってくる
14日午後0時45分、滋賀・長浜付近。琵琶湖の北は交通量も減ってくる
14日午後1時25分、滋賀・奥琵琶湖の海津大崎の桜並木
14日午後1時25分、滋賀・奥琵琶湖の海津大崎の桜並木
14日午後1時37分、滋賀・海津大崎
14日午後1時37分、滋賀・海津大崎
14日午後1時38分、滋賀・海津大崎港
14日午後1時38分、滋賀・海津大崎港

次に現れるのがマキノ町の古い町並み。今津、塩津とともに湖北三港として栄えた港宿場町で、当時を偲ばせるような建物が残っていた。ここも予備知識もなく突然目に飛び込んできたのでビックリ。時間があればじっくり歩きたい町だった。また、この近くにあるメタセコイアの並木は、つい先ごろビワイチを走った友人から「ぜひ」とすすめられていたが、コース外で少し離れていたので訪問できず。次回への宿題ですな。


14日午後1時51分、滋賀・マキノ町の古い町並み
14日午後1時51分、滋賀・マキノ町の古い町並み
14日午後2時、滋賀・マキノ町付近
14日午後2時、滋賀・マキノ町付近
14日午後2時23分、滋賀・高島付近の琵琶湖
14日午後2時23分、滋賀・高島付近の琵琶湖

この後はJR湖西線に沿って南下を続ける。暑さは相変わらず続き、もうヘロヘロ状態。ホテルの涼しい部屋を求めてひたすら漕ぎ続けるだけだった。この時点で1000キロを走ろうという気は失せていた。この暑さの中、日陰のない道を走っている翌日の自分を想像できなかった。


14日午後3時36分、滋賀・大津。JR湖西線沿いの日陰のない道
14日午後3時36分、滋賀・大津。JR湖西線沿いの日陰のない道

大津にたどり着いたのは、午後5時ごろ。大津港は琵琶湖の玄関口ともいえる所で、大型遊覧船が静かに停泊しておりコンコースも広大だ。海のない県でも立派な港があるもんだと感心した。


14日午後5時、滋賀・大津港
14日午後5時、滋賀・大津港

この日の走行距離は263キロ、所要時間は15時間26分でグロス平均時速は17キロ。名古屋市街地を通ったことや、琵琶湖での多くの写真ストップが響き前日よりは落ちている。2日間トータルでは529キロで、この時点で37時間が経過していた。この時点でのトータルのグロス平均時速は14・2キロ。


残りは471キロ、38時間。1000キロ完走できるかどうか、もう一度考えてみる。次のチェックポイントの御前崎には翌日の午後4時39分までに到着しなくてはならない。距離は316キロ。6時間後に再スタートするとすれば、グロス平均時速19キロが必要。元気な状態でも結構厳しい数字だ。6時間以下だと何とかなるかもしれないが、終盤は睡眠不足で睡魔との戦いになるだろう。琵琶湖も真っ暗だしなぁ。暑さで心も半分折れているし、う〜ん、やっぱ、やーめた。予定通り、この日はゆっくり休んで明るい琵琶湖を明日も走り、米原から新幹線で帰ろうかねぇ。今回は最初から何が何でも完走という気持ちではなかったのでDNF(Do Not Finish)でも気が楽だ。


ということは飲んでもいいかな♪ ビールを飲んでぐっすり眠り、ホテルには結局、12時間滞在してたっぷりと英気を養った。翌朝は往復宅急便で送っていたジャージーに着替え、無駄に終わったレインウエアなどは送り返して身軽になり、爽やかな気持ちで午前5時半過ぎに出発した。ちなみにこの時点で御前崎のチェックポイントに間に合うには、グロス平均時速28キロが必要となった。どうあがいても無理だ。琵琶湖をのんびり楽しもう。


たまたまだったが、今回宿泊した豊橋も大津も路面電車が走っていた。故郷岡山も路面電車の町なので違和感はないのだが、大津の路面電車は4両編成。それも普通の電車のような形状をしている。さらに大津から京都へ向かっては結構な上りだ。疑問符だらけでその日は見送るだけだったが、調べて見るとこの電車は途中から地下鉄となり京都の御陵(みささぎ)駅まで走っているという。京阪電車京津線(けいしんせん)といい、びわ湖浜大津駅から御陵の間の7・5キロを路面電車、登山鉄道、地下鉄を同一車両で走行する、日本では唯一の路線だそうだ。輪行で乗ってみたい気もするが、走った方が早いか。それにしても京都は近いんだね。


15日午前5時30分、滋賀・大津の路面電車
15日午前5時30分、滋賀・大津の路面電車

近江大橋の先で朝日が昇ってきた。そして、琵琶湖最南端の瀬田唐橋(せたからはし)に到着したのは午前6時過ぎ。滋賀・琵琶湖観光情報サイトによると日本3名橋の1つ(諸説あり)で近江八景「瀬田の夕照」で名高く、京都へ通じる軍事・交通の要衝であることから幾度となく戦乱の舞台となったという。その橋の真ん中付近にビワイチ193キロの終点と起点がある。


15日午前6時2分、滋賀・近江大橋付近の朝日
15日午前6時2分、滋賀・近江大橋付近の朝日
15日午前6時6分、滋賀・瀬田唐橋
15日午前6時6分、滋賀・瀬田唐橋
15日午前6時7分、滋賀・瀬田唐橋のビワイチ終点
15日午前6時7分、滋賀・瀬田唐橋のビワイチ終点
15日午前6時8分、滋賀・瀬田唐橋のビワイチ起点
15日午前6時8分、滋賀・瀬田唐橋のビワイチ起点

感激しながらの撮影会を終え、瀬田唐橋を渡って北上開始。琵琶湖大橋を過ぎ右へカーブすると「サイクリストの聖地」がある第2なぎさ公園が見えてきた。この碑は守山市がビワイチ発着地の拠点にと17年に設置した。しまなみ海道の聖地碑建立の3年後だ。「ビワイチ」と「しまなみ海道」はともに霞ケ浦とともに最初にナショナルサイクリングロードに認定されたが、期せずして同じ年に両方の聖地を巡礼する恩恵に授かった。いや〜、サイクリスト冥利に尽きますな。


15日午前7時11分、滋賀・守山。後方に見えるのが琵琶湖大橋
15日午前7時11分、滋賀・守山。後方に見えるのが琵琶湖大橋
15日午前7時29分、滋賀・琵琶湖「サイクリストの聖地」
15日午前7時29分、滋賀・琵琶湖「サイクリストの聖地」
15日午前7時23分、滋賀・守山。サイクリストの聖地。スマホが置けるカメラ台があったのでパチリ
15日午前7時23分、滋賀・守山。サイクリストの聖地。スマホが置けるカメラ台があったのでパチリ
15日午前7時26分、滋賀・守山。サイクリストの聖地のそばにあるBIWAKOモニュメント
15日午前7時26分、滋賀・守山。サイクリストの聖地のそばにあるBIWAKOモニュメント

ちなみにこの銅像の印象的なポーズの元となったのはモデルの田中セシルさん。16年3月に初めての自転車関係の仕事でロードバイクデビューし、琵琶湖サイクリングに挑戦。スタート前に琵琶湖をバックにストレッチした時のポーズだという。当時のブログで「ここに自身の銅像が立つとは1ミリも思っていなかった」と振り返っている。


ところでこの公園だが、利用時間は「日の出から日没まで」とあった。1000キロ完走を目指し、夜中に出発していたら入ることができなかった。なるほど。それでここがチェックポイントではなかったのか。DNFして大正解。はるばるここまで来て入れないじゃ、話にならないもんねぇ。


さざなみ街道での北上を続けていたが、交通量が増えてきたこともあって長命寺交差点から湖畔を通るサブルートに入った。ブルベのルートはそのまま町中を走るメインルートとなっており、ここで完全にDNFとなった。サブルートは多少遠回りで上りもあったが、車はほとんどおらず、気持ちのいいプチ山道。こういう道を走りたいんだよね。最高っ♪ なぜこっちがサブなんだろう?


プチ山道から再びさざなみ街道へ復帰し、最後に向かったのは彦根城。ぐるりと1周し、観光センターでメロンソフトを食べながらのんびりした。


15日午前9時53分、滋賀・彦根城
15日午前9時53分、滋賀・彦根城

午前10時半ごろ入江橋に戻り、ビワイチをコンプリート。200キロは1日で走れる距離だが、道中を楽しもうと思うと1日ではやはり足りない。次回は2日に分けてもっとあちこちに立ち寄りたいなぁなんて思いながら米原駅へ向かった。


15日午前10時25分、滋賀・米原まで戻ってきた
15日午前10時25分、滋賀・米原まで戻ってきた
15日午前10時28分、滋賀・入江橋まで帰りビワイチコンプリート
15日午前10時28分、滋賀・入江橋まで帰りビワイチコンプリート
15日午前10時35分、滋賀・米原駅
15日午前10時35分、滋賀・米原駅

走行距離は初日266キロ、2日目263キロ、3日目80キロで通算609キロ。所要時間はホテル滞在含め54時間半でグロス平均時速は11キロ。600キロのブルベでもタイムオーバーだった(^_^;


15日午前11時54分、近江牛弁当をいただく(^o^)
15日午前11時54分、近江牛弁当をいただく(^o^)

涼しい新幹線の中で食べる近江牛弁当は最高だった。ずっとコンビニメシだったからね。DNFに終わったけど、楽しいサイクリングの旅だった。次回は涼しい時に来ようっと。(この項終わり)【石井政己】