2010年にオープンしたサニー・ブルーは、現在はLA市内に2店舗あります
2010年にオープンしたサニー・ブルーは、現在はLA市内に2店舗あります

 ロサンゼルス(LA)では様々な日本食を楽しむことができますが、密かにブームになりつつあるのがライスボールことおにぎり。お寿司やラーメンの看板はあちらこちらで見かけますが、さすがに「おにぎり」専門店はまだまだレア。日系スーパーマーケットでは、鮭や梅、おかかなど日本のコンビニで売っている定番のおにぎりを買うことができますし、焼き鳥店では焼きおにぎりなどのメニューもあり、日本食好きなアメリカ人には「おにぎり」は珍しいものではなくなっていますが、かつてはライスボールと呼ばれていたおにぎりも、今では「Omusubi(おむすび)」の名前で専門店が登場するまでになっています。

LA広しと言えど手作りのおにぎり専門店は、まだまだレア。手で持ってファーストフード感覚で食べられる「おむすび」は少しづつ知名度が上がっています
LA広しと言えど手作りのおにぎり専門店は、まだまだレア。手で持ってファーストフード感覚で食べられる「おむすび」は少しづつ知名度が上がっています

 日本人経営の南カリフォルニア初のおむすび専門店サニー・ブルーが、サンタモニカのメイン・ストリートにオープンしたのはもうだいぶん前ですが、最近はフードフェスなどでもおにぎり店が出店していたりして、「おにぎり」の認知度は確実に上がっています。サニー・ブルーの特徴はおにぎりではなくおむすびと呼ぶことで、日本語で「手作りのおむすび」と看板に書かれています。場所柄観光客も多いですが、2号店としてオープンしたのはよりローカルなエリアのカルバーシティで、そちらも地元の人たちで賑わっています。一見するとおむすび専門店とは分からないおしゃれな外観で、カウンターで注文をするスタイルになっています。店内は小さいながらも座って食べられる席もあります。おにぎり以外にも、きんぴらごぼうや漬け物、キムチなど総菜も売られており、テイクアウトすることもできます。

店内はあまり和を感じさせませんが、ゴジラとガメラの文字にフィギュアが飾られています
店内はあまり和を感じさせませんが、ゴジラとガメラの文字にフィギュアが飾られています
左は明太子で、右はつけものやわさび、しょうが、カツオなどを混ぜた「ラッキー・キャット」と言う名のおにぎり
左は明太子で、右はつけものやわさび、しょうが、カツオなどを混ぜた「ラッキー・キャット」と言う名のおにぎり

 面白いのは、ツナマヨや明太子など日本でもおなじみのメニュー以外に、カレー味のチキンや味噌マッシュルーム、スパイシーサーモン、味噌ビーフなどアメリカらしいメニューが多いこと。種類は豊富ですが、全てオーダーを受けてから目の前で握ってくれます。ハンバーガーやピザなどに比べてヘルシーだし、肉を使ったメニューもあって食べ応えもあるので、ランチタイムには大勢の人で賑わうとのこと。日本のおにぎりよりも少し大きいですが、1個3・15ドルからとおにぎりとしてはかなりいいお値段です。それでも、おむすび専門店は珍しい上に手軽に食べられ、スーパーとは違って作り置きではないので、いつも新鮮なおむすびが食べられることが人気の秘訣のようです。日本人には、おにぎりとお酒を一緒にという発想はあまりないと思いますが、ここではビールやワイン、日本酒などもあり、おにぎりを酒のあてにお酒を飲むのもいかにもカリフォルニアという感じです。

メニューは全て英語。ユニークなネーミングもあり、店内にはこんなかわいいメニューが飾られています
メニューは全て英語。ユニークなネーミングもあり、店内にはこんなかわいいメニューが飾られています

 メニューは全て英語で、「ひじきしいたけ」とか「しそ梅」などの日本語もローマ字表記されています。具材の説明書きもありますが、常連さんたちは何の躊躇もなく注文をしています。ロール寿司になじんでいるLAっ子たちは、形状や作り方、具材などは違うものの、同じお米とのりを使ったおむすびには全く抵抗はないようです。アメリカ人向けにアレンジされているのか、混ぜご飯タイプになってるものが多く、日本のおにぎりとは少し違うかもしれませんが、味はどれもおいしく、人気の味噌ビーフも普通にいけてます。日本の家庭の味「おむすび」が、LAに来たらこうなるというちょっと面白い体験ができるかもしれません。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)