ボウイとのフォトセッションでは言葉ではなく長年にわたる信頼関係が大きいという
ボウイとのフォトセッションでは言葉ではなく長年にわたる信頼関係が大きいという

 40年以上にわたり英ロック歌手デビッド・ボウイ(68)の写真を撮り続けてきた世界的写真家、鋤田正義氏(77)の写真展「SUKITA:DAVID BOWIE」が、ソーホーで11月13日から30日まで開催されました。会場となったのは、数多くの有名音楽アーティストの写真展を行っていることで知られる「MORRISON HOTEL GALLERY(モリソン・ホテル・ギャラリー)」。

ボウイが演じるままに夢中でシャッターを切っていく。このうちの1枚が後に「ヒーローズ」の有名なジャケット写真に
ボウイが演じるままに夢中でシャッターを切っていく。このうちの1枚が後に「ヒーローズ」の有名なジャケット写真に

 鋤田氏といえば、ボウイの代表的アルバム「ヒーローズ」(77年)や「ティン・マシーン」(89年)のジャケット写真を撮影したことでアメリカでも有名ですが、アメリカで写真展を開くのは今回が初めて。ボウイも最近、鋤田氏が今回の写真展を開くにあたり、「鋤田は素晴らしいアーティストだ。彼を達人と呼びたい」との声明を発表しました。

 鋤田氏によるボウイの写真展はこれまで、シカゴ、ロンドン、ベルリン、パリ、ボローニャ、サンパウロなどで開催されました。今回の個展では70年代から撮影してきた作品の中から、約30点が紹介されています。

写真はすべて鋤田氏のサイン入りで、値段は1枚2000ドル(約24万円)ほどから
写真はすべて鋤田氏のサイン入りで、値段は1枚2000ドル(約24万円)ほどから

 広告写真家として活躍後、70年にフリーの写真家となった鋤田氏は、英グラム・ロックバンドのT・レックスに関心を抱き、72年に単身渡英。T・レックスの撮影に成功した同氏は、ボウイとも出会い、撮影した写真のうちの1枚が「ヒーローズ」のジャケット写真として選ばれることに。鋤田氏がビルボード誌のインタビューで語っていたのですが、英語が話せないので、ボウイとはあまり話をせずに撮影を進めているとのことです。

 言葉が通じないのに40年以上も付き合うのは、すごいことだなと思いますが、鋤田氏は、「写真はそれで十分」と語っています。お互いに、暗黙のうちに分かり合っている部分が大きいようです。やはり感性や相性が合うということや、深い信頼関係があってのことだと思います。同氏はイエロー・マジック・オーケストラ、忌野清志郎、イ・ビョンホンの写真集も手がけています。

一流音楽アーティストの写真展を数多く行っているモリソン・ホテル・ギャラリー
一流音楽アーティストの写真展を数多く行っているモリソン・ホテル・ギャラリー

 なお、モリソン・ホテル・ギャラリーでは、ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンなど大物アーティストの写真も展示。写真集なども販売しています。ソーホーの高級ブティック街のど真ん中にあるので、周辺を訪れる機会がありましたら、フラッと立ち寄ってみるといいでしょう。(ニューヨークから鹿目直子。写真も)

ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンなどの写真も展示
ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンなどの写真も展示