雪嵐の中の5番街。除雪車が何台も走る(インスタグラムから)
雪嵐の中の5番街。除雪車が何台も走る(インスタグラムから)

 先週末は“ブリザード・ジョナス”のせいで丸2日間、家に閉じ込められるハメになってしまった。米東海岸のおよそ8000万人が影響を受けたといわれる、あの“暴風雪”のことである。誰がどうやって名前をつけてるのかわからないが(アメリカの気象庁?)、アメリカでの呼び名は“ブリザード・ジョナス”。なんだかオシャレな響きに、つい騙されてしまったのは私だけではないはずだ。暖冬のせいか、今年は雪がなかなか降らなかった。「いや、ンなはずないでしょ」と気構えてはいたが、それにしてもアメリカの好青年のような響きのジョナスがここまで大暴れするとは。

 土曜にストームが来ることは1週間ほど前からわかっていたのだが、マンハッタンの住人たちの誰もが、まさかここまで破壊的なストームが来るとは思っていなかった。22日金曜夜には雪が降り始める中、私の仲間内では、「大雪楽しもうぜい :)」などという、ジョナスを完全になめ切った携帯メールが交わされていた。

雪嵐の中のセントラルパーク。本当に美しい(インスタグラムから)
雪嵐の中のセントラルパーク。本当に美しい(インスタグラムから)

 ところが! 土曜は一日中&一晩中、ビュンビュン吹雪くわ、窓の外は真っ白になるわ、除雪車が道路をひっきりなしに走り回ってるわ、という有様。フタを開けてみれば、セントラルパークで観測された1日で70センチ近くの積雪量は、なんとニューヨーク市の歴史上2番目を記録。ニューヨーク市内では3人の死者、東海岸全体では29人の死者が出るという大被害に加え、雪で足止めされての車両事故も300件以上にのぼり、11の州で25万人が停電の被害を受けるという、予想以上の大天災になってしまった。

 それでも、ニューヨーク市内では日曜朝には雪はやみ、一段落。ゴーストタウン化したマンハッタンも道路の閉鎖が解除され、空の便や地下鉄なども運行を再開するなど、除々に復活し始めた。ちょっと不謹慎かもしれないが、白い雪に包まれたニューヨークはまるで別世界のように美しい。ジョナスの猛威から一夜明けた日曜は、雪だるまを作ったり、美しい白銀の世界を楽しむ人たちも多かったようだ。

 大雪になると必ず出現するのが、車が走ってないことをいいことに、マンハッタンの町をスキーを履いて走る人たち。スキーで通勤する人もいる。この目で見たことはないが、大雪の翌日には決まって、メディアで映像が流れる。今回も、タイムズスクエアでスキーを履いた人の映像が流れていたw

雪の中ではしゃぐ姿が世界中で話題になった米動物園のパンダ(動物園のインスタグラムから)
雪の中ではしゃぐ姿が世界中で話題になった米動物園のパンダ(動物園のインスタグラムから)

 動物たちも大喜びのようで、ワシントンD.C.にある動物園のパンダが雪にまみれてはしゃいでいる動画を観たが、パンダってどうしてあんなに薄汚れてるのだろう? 雪の中で戯れて、少しは綺麗になるとよいのだが。

 それにしても、テロ、津波、大停電、ガス爆発、そして暴風雪と、いろんな厄災に見舞われているニューヨーク。もうなんでも来い! ってぐらい、タフで恐れ知らずでなければ、生きていけないのがこの町だ。アンドリュー・クォモ州知事がストームの一段落後にコメントした通り、なにはともあれ、「We survived、and then some.(私たちはサバイバルした。あと少し、頑張ろう)」だ。(米ニューヨーク在住・鹿目直子。写真はインスタグラムから)