熊野古道の山道に疲れたら、温泉で一服? 河原を掘れば温泉がでる川湯温泉
熊野古道の山道に疲れたら、温泉で一服? 河原を掘れば温泉がでる川湯温泉

 開創1200年で、賑わいをみせる高野山。そして高野山まで行くのなら、同じ世界遺産の熊野古道。そして白浜温泉も…と、計画は膨らむ||。地元「日の丸観光バス」が、高野山から各所に向かうバスを当日(事前予約なしで)でも乗車できるようにしたこともあり、この「高野山・熊野古道・熊野本宮・白浜」といった「グルリ和歌山観光コース」が人気になっている。まずは熊野古道から!

     <熊野古道って、どこからどこ?>

 「いったい、どこからどこまでが、熊野古道なの?それは全部世界遺産なの?」

 「その道は、簡単に歩けるの?」

 「全体で何キロあるの?」 「全部歩こうとしたら、どのくらい時間がかかるの?」

 世界遺産として知られる熊野古道だが、その実態がよくわからないという人は意外に多いのではないか? 今回は「高野山と熊野古道」への旅||。まずは田辺市中辺路町にある「熊野古道館」で熊野古道の概要について勉強した。そのレクチャーから紹介させてください。

熊野古道は、どこからどこ? まずはお勉強から
熊野古道は、どこからどこ? まずはお勉強から

    ◆

 ちょっと説明すれば…。

 まず、熊野古道って?

 熊野三山へお参りする参詣道をいう。熊野三山とは熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社をいう。

 この三山を中心に道が放射線状に伸びている。あるいは中心に向かって道がクモの巣のように張り巡らされている、ともいえる。

 その、いくつもある道の中でも中心的なのが、紀伊路、中辺路、大辺路、小辺路、伊勢路などなどと、ネーミングされているのである。

 さらにいえば、それらを含め熊野古道は全体を計れば全約700キロ。そのうち人口の手が加わっている(例えばアスファルト道)道などを除いた約300キロが世界遺産登録になっている。

 だから、ここが始まり、ここが終点というわけでもないし、「この一本道を歩けば、熊野古道制覇」と、単純なわけでもないのである。 

 で、観光客の中でも本格的に、半日でも丸一日でも熊野古道を歩こうという人もいれば、さわりだけ、ちょっと歩いて、もとの場所に引き返す人、あるいは途中からは、車に乗ってと、そのスタイルはさまざまである。

 今回、われわれが経験したのはその後者。滝尻王子の後ろに伸びる熊野古道の道を登り始めて20分ほどで、「バック!もう戻ろう!」と、相成った。

 それが急傾斜のかなりの山道。本格的に登ろうとされるなら、その気でプランをよくたて、歩かれることをお勧めしたい。

 なぜなら、ちょっと歩いただけでは「熊野古道がわかった」とは言えない…と思うから。熊野古道は、全体を指し「信仰の道」として、世界遺産の中でも「文化遺産登録」されたもの。信仰の道の厳しさ、楽しさ、達成感は、おそらくもう少ししっかり歩かないと、何も味わえないから。そんな気がしましたね。いつの日か再チャレンジです。

     <熊野本宮では山伏と遭遇>

熊野本宮では山伏がお参りする姿に遭遇
熊野本宮では山伏がお参りする姿に遭遇
大斎原(おおゆのはら)は、かつて壮大な熊野本宮大社があった場所。ここに平成12年、高さ33.9メートルもの大鳥居が建てられた
大斎原(おおゆのはら)は、かつて壮大な熊野本宮大社があった場所。ここに平成12年、高さ33.9メートルもの大鳥居が建てられた

 ところで、目差す「熊野本宮大社」とはどんなところか? 今回は、そういうわけでバスで行ったのですが、杉の木立の中、石段を登り切ると、桧皮葺きの4殿が横一列に並ぶ荘厳な雰囲気。ちょうど山伏のいっこうもお参りにきていて、ほら貝を吹き鳴らし、なおのこと荘厳な雰囲気。この地まで苦難を極めてお参りすれば、報われるという思いが昔からあった…という説明を聞いて、なるほどと納得したのでした。 ちなみに白河上皇は9回、後鳥羽上皇は21回も参拝されている。

 また、この熊野本宮大社周辺には、いい温泉がわいている。旅の疲れに、あるいはお参りの前に…。代表的3つの温泉は「湯の峰温泉」「渡瀬温泉」「川湯温泉」。

 今回は川湯温泉に泊まったが、河原を掘れば、お湯という(73度)恵まれた環境。旅館では簡易なお湯着のようなものを貸してくれたので、水着を持ってなくても大丈夫。川で泳いで、そのまま川原でひとっ風呂。カモも一緒にスイスイ。これは楽しい。

      <秋に高野山、もう1度特別開帳>

開創1200年を迎える高野山。秋にはもう一度特別開帳
開創1200年を迎える高野山。秋にはもう一度特別開帳

 熊野古道に行く前に、行ったのが高野山である。

 今年は開創1200年。特別開帳もあり、注目の1年。

 特別開帳は、前期(4月2日~5月21日)が終わり、後期は秋、10月1日~11月1日まで。金堂の御本尊薬師如来と金剛峯寺持仏本尊の弘法大師像が開帳される。訪ねた5月の下旬は、すでに前期の開帳は終わったあとだったが、観光客はぞろぞろと続く。今年はまだまだ「高野山イヤー」。その印象を強くした。

 ※アクセスバス問い合わせ。◆「日の丸観光バス」電話0736・73・2233。