一瞬の機転が勝利を引き寄せた。「2015日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」磯&釣具店ブロック金谷クロダイ部門の決勝が6日、千葉・金谷の沖磯で実施された。2月28日から今月5日までの予選を勝ち上がった13人で雌雄を決した。苦戦がしいられたが、伊藤巨樹(なおき)さん(41=千葉市)が唯一の1匹を釣り上げた。優勝魚は46・3センチ、1・6キロのナイスサイズだった。

 5投目だった。太陽はまだ山から上がっていなかった。伊藤さんは、気を抜かずに勝負に出ていた。アタリは感じていた。最初は大粒のオキアミを仕掛けに付けていたが、かじられた。それでもハリには乗らなかった。

 「持ちのいいエサにしないと、食われるだけになってしまう。ここはネリックスだ」。

 ウズラより大きいぐらいの球体にして、ハリに付けた。エサ取りのメジナがうるさかった。手前にコマセを打って、メジナを引き寄せる。その間、底付近までハリを落として待った。

 棒ウキがブルルン! 慌てずにゆっくりと合わせた。姿は見えなくても伊藤さんの頭の中ではイメージが広がっていた。必ず底近くで動かないクロダイを浮かすことができると信じていた。巻き上げると46・3センチ、1・6キロの大物を釣り上げた。

 釣れた魚はこの1匹だけ。

 なぜ釣れたのか?

 審査委員長の鵜沢政則さん(64=日刊釣りペン・クラブ)は「潮が良くなかったなぁ。異質なプランクトンが多かったようだ。これで潮が入れ替わったら、爆釣モードに入りますね。伊藤さんはエサ取りのメジナが動く前に勝負できたのが良かった」と話した。

 伊藤さんは初優勝。喜びもひとしおだ。釣りを始めて10年。今年の予選会で、初めて50センチ超を仕留めた。「いい年になりました。さらに上の魚を釣ってみたい。頑張ります」とつぶやいた。

 岡澤釣具店でも「だいたいGWで大きなクロダイが出るんですよ。今年は何も出なかった。平穏だった。だからこそ、大物はこれから出るんだと思います」と忠告された。クロダイ、初夏の陽気で、これからが本領発揮かもしれない。

 ▼伊藤さんのタックル サオ=がまかつ製5・3メートル、リール=3000番台、道糸=2・5号、ウキ=自作の棒ウキ(全長約60センチ)、ハリス=1・75号(2ヒロ)、ハリ=がまかつ金チヌ4号。

 ▼賞 初優勝した伊藤さんには、優勝トロフィーと賞状が贈られ、副賞として、がまかつの高級磯ザオ「枯冴」(5万9000円相当)、マルキユー「パワーバッカンセミハード」(7000円相当)など豪華賞品が贈呈された。

 ▼宿 金谷「岡澤釣具店」【電話】0439・69・2232。沖磯の渡船は終了。詳細は要確認。