【(3)実践編その1】

 釣りファンに贈る「兼松伸行のチヌかかり釣り教室」。3回目の今回からはいよいよ「実践編その1」に入ります。まずは釣り場に出る前の情報収集、釣りを始める前に行う釣り座のセッティングなどのほか、チヌ釣りで重要なダンゴの作り方や打ち方の基本について教えてもらいます。

 前回までの連載で、道具やエサ、ダンゴについての説明をしました。今回からは実釣に入ります。でも、その前に情報収集です。釣行前に日刊スポーツの釣り情報欄などをみて、釣況を確認し釣行先や釣行日などを決めます。決まれば、渡船店に予約を入れ、合わせてエサ店にもエサの予約をするといいでしょう。

 釣行当日は道具やエサなどを整え、釣り場に到着、出船となります。まずイカダ、またはカセに上がってすることは、釣り座を決めて道具を配置することです。1度決めれば動き回らなくていいように手の届く範囲に整理してセットしましょう。一例として、私の基本的な道具の配置を紹介します(別図参照)。私は右手にサオを持ち、左手でダンゴなどのエサを扱うので、この配置が効率的なのです。参考になれば幸いです。

 配置が出来ると、タックルのセッティングかダンゴ作りかに分かれます。広角釣法からスタートするならタックルのセット、ダンゴ釣りからスタートならダンゴ作りとなります。この判断は釣り場、季節によって異なりますが、今回は基本的なダンゴ作りからとして説明します。

 準備してきたダンゴ(の材料)をオケに入れ、集魚材などとよく混ぜ合わせ配合。次に海水を入れて仕上げて行くのですが、最も失敗しやすいのが水加減です。水を1度に入れるのではなく、水バケツなどから少しずつ入れるようにしましょう。大体出来ればタオルを海水でぬらし、ダンゴの上で絞って水を足すようにすれば、失敗することは少ないと思います。目安は握ったときにダンゴが崩れずにまとまること。そこからは、実際に投入し割れ具合を見ながら、水の量を加減して調整します。

 出来上がったダンゴに刺しエで使うであろうもの…例えばオキアミ、ミンチサナギ、シラサエビ、その他をアンコ(ダンゴの中心に入れ包む)、またはマゼ(ダンゴ全体に混ぜる)し、釣り座正面に5~10個投入してチヌを寄せるポイントを作ります。

 チヌ釣りにおいては、このポイントづくりが大変重要です。この時に注意することは、まずコーンなどを上まきして潮の速さ、方向などを確認することです。そうして潮が動いていれば、ダンゴの投入点を潮上(潮の流れてくる方向)にして、ちょうど自分の前にポイントが来るように調整しましょう。

 ◆兼松伸行(かねまつ・のぶゆき)1965年(昭40)5月26日生まれ。大阪府大東市在住。「全日本チヌトーナメント」6回、「全日本チヌ釣り王座決定戦」9回優勝。昨年も「チヌ名人位決定戦」第1回王者となるなど、最強のトーナメンターとして知られ、ファンも多い。かかり釣りの親睦会「K-ZERO」(北陸、関東~九州まで10支部)会長、京阪チヌ釣り研究会会長。兼松柔道場師範。本紙にイカダ、カセ、波止の落とし込み釣りなどの釣行記を執筆。著書も多数。