「日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」船釣りマダイ部門の南伊豆大会が22日、手石「米丸」と須崎「静栄丸」の合同で開催された。前日までの好釣さが打って変わって、潮も動かず、マダイの食いが渋った。そんな苦境の中、大会初参加の大原雅人さん(53=熱海市)が、誘い続けてチャンスを見逃さず、2・21キロを仕留めて初優勝を飾った。

 チャンスはたった1度だけだった。先日まで、マダイは順調に釣れていた。ところが、大会当日は青空、無風、ベタナギ。潮流れも鈍かった。「これじゃ、魚も動かねぇな。大変だ」と「米丸」肥田定佳船長がつぶやいた。世に言う「ナギ倒れ」。海の変化のなさに魚の食い気がそがれてしまうことを指す。

 大原さんも苦戦していた。開始は午前5時半。すぐにアタリをとれた。しかし、マダイの食いが浅く、ハリからすっぽ抜けてしまった。「潮がほぼ止まった状態だったので、しっかりとフッキングさせたかった。大きなハリ、マダイ9号で勝負した。最終的にはキーパーにサオを固定させるけど、なるべく手持ちで誘いたかった」と大原さんは振り返った。

 午前10時すぎ、米丸はタナ(魚の泳層)を海面から50メートルのポイントを捨てて、同35~38メートルの浅場に移動した。イサキの群れが邪魔をしたが、左大ドモの坂東正明さん(61=町田市)が1・51キロをキャッチした。「3匹目でようやくマダイ、っぽくなった。誘いを入れないとキツいな」。坂東さんは準優勝だった。

 坂東さんが釣り上げる直前、左ミヨシ(船首)の大原さんのサオがしなった。イサキが邪魔をしていた。「上でコマセを振る。イサキだけじゃなくてほかのエサ取りを“上”にいさせる。その下にマダイが様子見しながら、いるだろうと踏んだ。あたったみたいです」と大原さんはニッコリ。

 一方で、「静栄丸」に乗った塩原幸雄さん(75=横浜市)は2投目で3位となる1・2キロを釣り上げてた。「朝イチだけでしたね。置きザオじゃなくて、やはり手持ちだった」と塩原さんは話した。

 大原さんは、マダイ釣りは20年以上のキャリア。米丸は昨年末から通っている。「来年も大会に出ます」と決意表明した。さらに大原さんは、これまでの最重量マダイは6・9キロ。「いつかは7キロ超ですね」と新しい目標設定に燃えていた。【寺沢卓】

 ▼成績 <1>米丸・大原 2・21キロ<2>米丸・坂東 1・51キロ<3>静栄丸・塩原 1・2キロ<4>米丸・米山渉(53=藤沢市)580グラム<5>静栄丸・安岡正宣(65=横浜市)400グラム<6>静栄丸・内田隆好(67=秦野市)240グラム(敬称略)

 ▼賞 見事に初優勝を果たした大原さんには、賞状&トロフィーのほか、がまかつ提供の高級船ザオ「ライブラML-195」(3万6500円相当)、マルキユーのパワーバッカン「36TR4」などの副賞も贈られた。