かかり釣りファンを対象にした「兼松伸行のかかり釣り教室in若狭本郷」(主催・K-ZERO、協力・日刊スポーツ)が10日、福井・おおい町の「はやし渡船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)のイカダで開催され、22人が参加した。かかり釣りの親睦会「K-ZERO」会長で、今春「チヌかかり釣り教室」を本紙に連載した“最強トーナメンター”兼松伸行氏らが講師となり、その実戦テクニックを伝授。厳しい状況下だったが、参加者は納竿の午後3時まで熱心に釣り、講師の言葉に耳を傾けていた。

 参加者22人が、青柳イカダなど5つのイカダに乗った。講師役の兼松氏が森の鼻などの各イカダを回ってアドバイスを送る形で、午前5時半ごろ教室がスタートした。

 参加者は、この日初めてかかり釣りをする初心者から、30年の経験を誇るベテランまでがそろった。奥深いかかり釣りの世界。それぞれが疑問や悩みを持っている。それに兼松氏が明快に答えた。

 たとえば、ダンゴ作りで目からウロコだったのは松田健一さん(三田市)。兼松氏が作って見せたダンゴは「想像以上にウエットな状態」(松田さん)とビックリ。「こんなに緩いとは思わなかった。しかもそれで持ちがいいのが意外でした」。

 兼松氏は「30メートルくらいの深場なら両手でしっかり(ダンゴを)握り込む必要がありますが、10メートル前後なら片手で握ってしっかり空気を抜いてやれば底まで持つ。片手でやればもう一方の手が汚れないので、サオやリールのトラブルも避けられて手返しもよくなる。これからの数釣りの時期には、ダンゴは片手で握り込むのが有効です」と説明。

 この日は前日までの雨の影響か食いが渋く、アジなどのエサ取りも多く参加者は苦戦。それでも、青柳イカダの塚本聖市さん(大阪市)は、午前7時前に半貝の落とし込みで42センチをゲット。「いつもはモーニングからダンゴ釣りという流れですが、今日はダンゴ釣りは後回し。違ったスタイルの人たちと一緒にやるのは新鮮ですね」と刺激を受けた様子。その隣では有田洋志さん(大阪市)が40センチを釣り上げて笑顔を見せた。

 かかり釣り歴4年の浜田昌之さん(京都市)は、兼松氏から「(ラインの)テンションが掛かりすぎていますよ」と助言を受け、ラインをなじませるといきなり30センチ級のチヌがヒット。その効果に目を丸くした。

 この日がかかり釣りデビューとなった川端義人さん(京都市)は、慣れない釣りに悪戦苦闘しつつも見事に30センチ級を釣り上げた。「(兼松氏からは)サオの使い方、ラインの出し方などを教わりました。ダンゴの作り方とか、奥深く面白いですし、またやりたいです」と、かかり釣りに魅了されたようだ。午後3時、盛況のうちに教室は終了した。【高垣誠】

 【問い合わせ】はやし渡船【電話】0770・77・0591。イカダ・カセ料金は、大人4000円、小人(中学生まで)2000円、小学生以下は無料。仕掛け、エサ常備。パラソルの貸し出しもある。出船は日の出、迎えは日の入り。

 【交通】大阪から中国自動車道、舞鶴若狭自動車道を利用。小浜西ICを出て国道27号に入り舞鶴方面へ約3キロで右側にはやし渡船がある。