ヘラブナの総重量を競う「第38回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権」(主催・がまかつ)が16、17日に茨城・筑西市の「筑波湖」で行われ、予選を勝ち抜いた30選手(シード含む)が参加した。17日午後から行われた決勝戦は6選手が2時間半を戦い、得意のチョウチン釣りに徹した宮森大一選手(椎の木湖)が28・2キロ(32匹)を釣り上げ、初優勝した。2位には天笠充選手(椎の木湖)が入った。

 宮森選手は、最後の最後まで自分の釣りを貫き通した。チョウチン釣りを、そして慣れ親しんだウキを信じた。初のG杯初優勝に「本当にうれしいです」と顔をほころばせた。

 予選2回戦を終えて突破には微妙な位置にいた。2日目の3回戦で、それまで使っていたウキから「このウキで釣れないわけがない」と自信を持つものに替えた。エサをタナまで入れるため、同じ号数だが浮力が違う“勝負ウキ”を投入したのだ。これがハマった。3回戦は12キロを釣り予選5組を1位で、準決勝も突破した。6人で戦った決勝戦は、G杯優勝経験のある天笠選手と終盤まで激しく争ったが、逃げ切った。

 G杯ヘラの全国大会は4度目の出場だが、過去3度はいずれも予選落ち。だが、今回は、筑波山を見ながら試釣をして「ノンビリ釣れるなあ」とリラックスし、夜に満月を見上げると「キレイな月がみられた。ラッキーだな」と前向きにとらえた。「優勝も狙って出来るものじゃないので雰囲気を楽しみたい」と平常心で臨めた。

 仕事の気分転換として始めたヘラ釣り。釣りの手ほどきをしてくれたホームグラウンド「椎の木湖」(埼玉県)職員の荻原健一さんと、ウキを提供してくれている「師匠」山畑耕作さんには「足を向けて寝られないです」と感謝する。

 8年の時を経て、全国の頂点を極めたが「(勝ったのは)運です。これだけのメンバーの中でまさか優勝できるとは…。(優勝シードで出場する)来年はまたイチからの釣りを楽しみたい」と、再び無欲でヘラに挑む。【高垣誠】

<試合経過>

 予選は30人が6人ずつ5組に分かれ3回戦。16日に2試合、17日に残りの1試合を行い、釣ったヘラブナの総重量を競った。各組の上位3人が準決勝に進出。準決勝は15人が5組に分かれ、各組1位の5人と、各組2位のうち最重量の1人がワイルドカード(WC)で決勝戦に進出。17日午後1時からの決勝は、4号桟橋で6選手が並び2時間半を戦った。WCの時田選手が開始3分で1匹目を釣ると快調に飛ばす。しかし、天笠選手と宮森選手がコンスタントに釣り、中盤からは2人のデッドヒート。最後まで接戦となったが、宮森選手が逃げ切った。