「第8回オーナーカップグレ金勝杯 四国大会」=主催・(株)オーナーばり=が4日、徳島阿南市の伊島周辺の磯で行われ93人が参加し25センチ以上のグレ3匹までの総重量を競った。南風が吹く予報で、競技は1時間短縮されたが、午前7時から正午まで熱戦が繰り広げられ「黒崎のオチ」に渡礁した山川博史選手(徳島市)がサラシの切れ目を狙い42~50センチを3匹(4180グラム)そろえ見事初出場で優勝。2位は4060グラムで西谷敦選手(小松島市)、3位は3580グラムの吉本知則選手(徳島市)が入った。

 「いきなり波でコマセが半分流されたが、逆に少ないコマセがグレの活性に合っていた」と山川選手。まさに“災い転じて福となる”展開だった。山川選手は「黒崎のオチ」に上がり、東向きに入った。うねりがあり磯際にはサラシが広がる。周りの様子を見ているときに大きな波が襲い、ほぼ半分のコマセが流されるアクシデント。しかし、これが逆に山川選手の集中力を高めた。

 午前7時ごろ、潮が左に流れるなか、サオ1本のタナでオキアミを刺しエにハリスの中間にG5を打って、サオ下のサラシの切れ目に狙いを定める。残ったコマセを調整しながらまき、ポイントで刺しエと同調させることに集中する。

 すると同10時ごろ、ウキがジワーッと沈む本命アタリ。魚が磯の先端の根に走る。小さな磯で動きが制限される中、タモ入れしたのは50センチの大型。食いダナの確認に時間がかかったが「この1匹を取り込めたのが大きかった」と約30分で43、42、40センチをゲット。

 その後も狙ったポイントに少ないコマセと刺しエを同調させ正午までに30~50センチを7匹キープ。2位の西谷敦選手に120グラム差をつけ見事、初優勝を飾った。

 山川選手が磯釣りを始めたのは約20年前。「徳島県釣連盟」に所属していた当時、フカセ釣りのスペシャリスト・福良元宏氏に出会い「どんな状況でもまきエと仕掛けを同調させる」繊細な釣りにほれ込み、腕を磨いてきた。諸事情でブランクがあった同選手だが「昔身に付けた繊細な釣りができた。コマセの量がいつも通りだったらこの食いは引きだせなかったかも」と話し、次は誰も成し遂げていない「金勝杯の連覇を狙う」と力強く話した。【中村和嗣】

 ◆山川博史(やまかわ・ひろふみ)1970年(昭45)8月19日生まれ、46歳。徳島市在住。会社員。グレ釣り歴20年。ホームグラウンドは宇和島。