「2017日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」磯&釣具店ブロック金谷クロダイ部門の決勝が5日、千葉・金谷の沖磯で開催された。3月17日から今月4日までクロダイ1匹の全長で競った予選を勝ち抜いた14人がしのぎを削った。50センチ超が2人出たが、わずか4ミリ差で川口勇治さん(55=佐倉市)が2連覇を達成した。

 クロダイの神さまは、2年連続で川口さんにほほえんだ。ただ、神頼みや運だけで2連覇ができたわけではない。川口さんには釣れる確信があった。出船直前の空が白んでくるころ、車で明鐘(みょうがね)岬まで走った。海の色と潮の流れを見て「これはドラ下ハナレしかない」と磯師の血が騒いだ。

 今年は「イタド島」周辺で釣れた実績が出ていた。昨年、川口さんが優勝したのも「イタド島小バナレ」だった。抽せんでもイタド島周辺の北側が人気だった。決勝では前半と後半で、乗る磯場を替えないといけない。川口さんはそれぞれ「11」と「14」を引いた。勝負に勝ってもクジ運は最悪だった。それでもドラ下は残っていた。

 「この時点で本気で勝ったと思った。事前の準備は勝負を分けるんですよ」と川口さんは振り返った。

 磯クロダイでは50センチ以上を「年齢が分からないほど」という意味から「トシナシ」と呼んでいる。そのトシナシが決勝では2匹も飛び出した。

 惜しくも準優勝だった古山研一さん(51)は平島に渡ってすぐに50・4センチを釣り上げた。「足元にエサ取り用のコマセを1回まいて、さてこれから、というときに根掛かりかと思ったら、動いた。取り込んだときに午前7時で終わっていい、と思った」と話した。

 そして約2時間後、川口さんが50・8センチを釣って逆転した。川口さんが入ったドラ下は、ここのところ不人気で、コマセを入れるのは久しぶりだった。

 川口さん 初動が大事。朝の現場の確認もあるけど、サオを入れてから、周囲を確認して、どう攻めるといいのか、海をどうつくっていくかが重要なんです。コマセをまきすぎてもいけないし、ピンポイントで狙いを決めないとダメ。今回はうまくハマりましたね。

 川口さんは、決勝の数日前から、こまめに現場を確認し、海の色をみていた。決勝当日の朝に見た海の色を「いいな」と思えたのは、そんな数日前からの試釣の成果だったのかもしれない。

 「来年も狙っていきますよ」。激戦を制した川口さんの口からは、史上初の3連覇宣言も飛び出した。【寺沢卓】

 ▼決勝成績 (1)川口50・8センチ(1・96キロ)(2)古山50・4センチ(2・07キロ)(3)遠藤48・5センチ(1・85キロ)(4)松村47・1センチ(1・45キロ)(5)佐藤浩38・1センチ(0・98キロ)※6位以下は、予選順位に合わせる。