野島のクロダイがすごい! 今月30日、横浜市金沢区の野島堤防で「第12回野島杯・クロダイ釣り大会」が行われる。今年1~6月の半年で、野島堤防で釣れたクロダイは1071匹。昨年までの上半期は、400匹台で落ち着いていた。こんな猛爆釣のクロダイなので、大会もすぐに定員が埋まってしまった。野島の魅力について、取材してきた。

 野島堤防で40年近くクロダイを追っている田中正司さん(海津クラブ名誉会長)が、腕組みしてこう言った。「こんなにクロダイの反応のいい年は初めて。ちょっと驚いている」。言葉は熱をはらみ、手ぶりまで飛び出した。普段、沈着冷静な田中さんにしては珍しい。

 野島堤防の2014年以降の年間クロダイ釣果は、年々伸びている。上半期(1~6月)だとこうなる。

 14年・441匹、15年・464匹、16年・494匹、17年・1071匹

 田中さん なぜなんでしょうか? 過去22年間、東京湾全体でクロダイの稚魚は23万9100匹が放流されてきた。その効果が出てきたと考えたい。ただ、クロダイが釣れている流れは、全国的に発生しているので、自然界の偉大な繁殖サイクルにクロダイが適合したのかもしれない。

 謎は深まるばかりだが、とにかく今年は猛烈に釣れている。いいチャンスだ。野島で釣りをしてみないか?

 30日には、ビギナーも含めて野島でクロダイ大会を開催する。今年で12回目。ただ、すでに定員に達していて、参加者募集はしていない。残念!

 そこで、野島に行ってみよう。クロダイを釣る大チャンスじゃないか!

 海津クラブの西崎肇さん(58=横須賀市)が協力してくれた。45センチと46センチの2匹を釣り上げた。釣るためのコツは大きく2つだ。

 <1>ヘチよりも潮 岸壁に沿ってエサを落とし込んでいくヘチ釣り。これはオーソドックスなクロダイ釣りで、何回も落とし込んでいれば必ず釣れる。ましてや、魚が動く今年は落とし込んだ回数に比例してキャッチもできるだろう。でも、効率はよくない。そこで岸壁に当たってくる潮に仕掛けを乗せて誘う。その潮目さえ分かれば、沖に向かってちょい投げする。大きなクロダイを釣るなら、沖から流れてくる潮には、比較的大きなクロダイが交ざってくる。

 そして2番目はエサについてだ。それこそコーンやスイカの皮だってエサになるクロダイ。何が効果的なエサなのか?

 <2>小さくても良質なエサになる 「ダンゴ」がいい。これは俗称。岸壁に群生するカラス貝の小粒サイズの密集体。不思議なことに小さなカラス貝1個をハリに掛けても見向きもされない。エサもアピールが大事なのだ。

 野島堤防は、T字の堤防で、すべての風向きに対抗できてしまう。取材の日は、やや強い南風だった。「新堤」に乗ったところ、北側はベタナギ状態になった。堤防が風をさえぎって、波の立たない絶好の釣り場もつくってくれる。

 東京湾に浮かぶクロダイの楽園・野島堤防-。ちょっとのぞきに行ってみよう!【寺沢卓】

 ▼渡船 野島「村本海事」【電話】045・781・8736。4~9月の渡船時間は、第1便が午前7時発、昼便は正午、午後便は午後3時45分発、夕まずめ便は日没あがり、半夜便は同8時30分。料金は、午前7時~日没あがりでは、高校生以上4000円、女性と中学生は2000円、ファミリー(同居家族4人まで)で6000円。小学生以下は無料。詳細は要確認。