寒グレに乾杯! 日刊スポーツ、日刊銀鱗倶楽部主催「2018 月桂冠杯 三重・紀伊長島磯グレ釣り大会」が9日、同沖のウワテまわりの磯で行われ、76人が参加し、グレの23センチ以上3匹以内の総重量を競った。寒気の南下で急激に気温が下がり、風も強いタフな条件だったが、納竿間際まで良型を追い求める熱戦を展開。ボウズに渡礁し、深ダナをスローに攻めた宮本光広さん(田辺市)が2120グラムを釣り上げ、初優勝を飾った。最長寸を競う「月桂冠賞」は48・6センチを仕留めた西田徳行さん(京都・相楽郡)が受賞した。

寒気を切り裂くように宮本さんの鋭い合わせが決まり、磯竿が次々に弧を描いた。早朝の気温は4度。体の芯まで冷え込む厳しい寒さだったが、パターンがはまる狙い通りの釣りに「寒さも忘れて、夢中で攻め続けました」と振り返る。

「グレのフカセ釣りはテクニカルなところが面白い。簡単に釣れるときよりも、釣れないときのほうが燃えます」。波、風が強く、潮の流れも速かったせいか、餌取りが少なく、グレの活性も低かったが、宮本さんにとっては望むところ。

上がった磯は、強風が吹き付けるウワテまわりのボウズ。構えたのは船着き。まずは0号ウキを使った沈め釣りで本流を探るが、アタリがとりづらく、グレからのシグナルは全くなし。それならと、小粒のG2ウキ仕掛けに交換。本流と引かれ潮がぶつかって出来る潮だまりに狙いを絞った。

足元の引かれ潮に断続的にまき餌を入れ、ゆっくりと刺し餌をなじませ、潮だまりで合わせていくと、竿1本半の深ダナで本命の食いをキャッチ。その後も、タナを小まめに変えながら食いをつなぎ、24~36・5センチを2ケタ釣り上げた。

表彰式では、優勝カップを高々と突き上げ、「やりました。月桂冠杯最高! 風が強かったが、いい感じの釣りができました。今夜は釣ったグレを刺し身にして、いただいたお酒(純米大吟醸「鳳麟」)をじっくり味わいたい」と会心の笑顔で喜びを口にした。

宮本さんは毎週のように地元(南紀・田辺)の堤防でフカセ釣りの練習をしているそうで「グレが食い渋るときでも、ハリスを細くするのではなく、太めで確実に釣っていけるようになりたい。来年も参加し、てっぺんを目指す」ときっぱり。グレ釣りの奥の深さに魅せられた男が、V2を目標に釣技を磨いていく。【近江康輔】