<フィッシングルポ>

 いよいよアユのシーズン到来!

 静岡県内の興津川で20日に、続いて23日は狩野川でアユ釣りが解禁する。今年は、両河川ともに天然アユのソ上率がよく、期待度は高い。日刊釣りペン・クラブの相吉孝顕さん(74)が、近況を含めてルポする。

 【興津川】

 興津川では今年、天然アユのソ上が例年より遅かった。いつもなら2月下旬に始まるが、ソ上が見られるようになったのは3月以降だ。地元漁協によると、途中に定期的な雨はあったものの、3月下旬の<花冷え陽気>などが影響したという。それでも、その後はソ上は順調で、承元寺エンテイを群れで越える若アユの姿や、清地や和田島などでも天然アユが確認されている。

 一方、稚アユの放流は、4月中に裾野人工産と海産を合わせて、総合量で平年並みの計約3200キロを完了。これらの成育状況はいいようだ。それを裏付けるように、今月11日に漁協関係者らによる友釣りの試釣でも良型が目立った。

 2、3日前に雨が降り、水位が10センチほど高く、水温は19・5度で外気温27度という条件の中、梨ノ木エンテイから福山淵上流間で20センチが掛かった。中流域は、高瀬出合いから丸淵下流間で最大は18・5センチがヒットし、上流域は高瀬出合い上流から西里エンテイ間で19センチが釣れている。

 解禁当初は、放流アユが主体になるが、天然アユのソ上もいいだけに期待はもてそうだ。釣り場では、下流域は新幹線鉄橋上下から承元寺エンテイ、中流域は小島中から清地間など好ポイントが点在する。

 興津川のアユ釣りに精通する横山愛治さん(61=静岡市)は「放流後に水量が多い年は瀬で釣れる傾向が強い」と話し、「水深があり流れのある場所を中心に、サイズのいいものは瀬、数は流れのたるみで狙えるかも…」とも付け加えた。参考にしたい。

 ▽問い合わせ

 日刊スポーツ新聞社指定「あこがれ亭」(電話)054・393・3814。日釣り券1200円(女性&70歳以上600円)現場購入1700円、年券6000円。宿泊も可能。HP<http://akogaretei.burari.biz/>

 ▽交通

 電車はJR東海道本線・興津駅からタクシー利用。マイカーは東名高速・富士インターから海岸沿いの国道1号を静岡方面へ走り、興津インターから国道52号に入り小島右手。

 【狩野川】

 興津川から遅れて23日に解禁する狩野川も、地元漁協の植田正光組合長(62)が「今年は大丈夫」と太鼓判を押すほど天然アユのソ上がいい。

 狩野川が流出する駿河湾は今年、稚アユの多さが伝えられており、2月には早くも全長10センチほどの<1番のぼり>が見られ、3月末までに約3トンのソ上量があったという。これらソ上アユは4月中旬ごろには上流域まで達し、柿木川の本流との合流点近くにある柿木橋直下で、段差エンテイを越す大量のソ上アユが確認されている。実際に今月10日、私が所属する「日本友釣同好会」恒例の狩野川清掃に参加し、<川見>したところ、前日までの雨で20センチ余り増水はしていたものの、連続して川面をハネるアユを目撃して感動した。

 放流は、裾野人工産で15グラムの、比較的大きめの稚アユを3月21日から4月初旬にかけて約1・5トン(約10万匹)、5月も人工産で30グラムのサイズアップさせたもの約5万匹を実施。海産は、4月10日に2~3グラムものを下流と上流域にそれぞれ約18万匹ずつ放している。さらに解禁後は、6月にも20グラムの稚アユを約10万匹追加放流する予定で、トータルでも相当な量放流だ。植田組合長が「ファンが納得してくれる川づくりはできた」と語るのもうなずける。

 13日に行われた漁協関係者らによる試釣でも、それを立証する結果が出た。この日、外気温は26度台。川は6センチ余りの増水も水温は18度台で、そんな条件の中で目立った場所をピックアップすると、まず田沢橋周辺が3人で計58匹。大見川では小川橋付近が2人で58匹、次いで修善寺橋付近が2人で51匹を収めた。ほかに嵯峨沢橋周辺などでもアユのいい追いがあったようで、最大は20・5センチが掛かっている。試釣は午後1時から約1時間、時間からみれば上々の内容だろう。

 魚はかなり濃い。今年はかなりいけそうだ。釣り場は、試釣の結果が参考になるだろう。流域には温泉も多く、釣りと一緒に楽しむのも一興だ。

 ▽問い合わせ

 狩野川漁協(電話)0558・72・5945。「旭水園」(電話)0558・87・0162。日釣り券1600円(現場購入は2400円)年券1万円、オトリアユ1匹600円(いずれも税込み)。

 ▽交通

 電車はJR三島駅から駿豆線に乗り換えて修善寺駅で下車しタクシー利用。