<2014SUZUKI日米野球:日本代表1-6MLB>◇第4戦◇16日◇東京ドーム

 藤浪晋太郎投手(20=阪神)は思わず苦笑いし、舌をぺロリと出した。1点を奪われ、なおも1回2死三塁。5番サンタナに自己最速タイの外寄り157キロを引っ張られ、右翼ポール際に大飛球を浴びた直後だ。「日本では157キロを思い切り踏み込まれることはなかなかない。ちょっとビックリしました」。

 日米野球デビュー戦。力みから制球が狂い、1回は連続二塁打で先制を許し、3回は甘いカットボールで右越え3ランを浴びた。4回で5奪三振も、「4回に球速を落として丁寧に低めを突けば打ち取れた。最初からそうすれば良かった」と冷静に振り返った。

 大阪泉北ボーイズの5年先輩でもある小林とバッテリーを組んだ一戦。10日の壮行試合でライナー直撃の右手親指は順調に回復し、「力で勝負を挑みすぎた。単純に力不足です」と潔かった。

 9日の練習中、武田に大きく落ちる縦スライダーの握りを教わった。14日第2戦の最中には岩田が金子から聞き出したチェンジアップの握りを巡り、大谷と3人で一塁側ベンチで談笑した。

 この日も武田の投球をチェックし、ベンチでスライダーの投げ方を反復した。今大会をレベルアップする絶好の機会と考えている。

 10日夜には武田と大谷の3人で食事に出かけ、誰1人アルコールを口にせず、焼き肉をつつきながら野球談議に花を咲かせた。武田は1歳下の2人について「大谷の方が体の使い方はうまい。ポテンシャルを考えたら、藤浪の方がスピードが出るんじゃないかと思う」と説明する。20歳。まだまだ伸びしろは十分だ。

 17年WBCでは主戦級としての期待がかかる。「緩急とか、ボールを動かしてゴロを打たせる工夫とか、アウトの取り方がもっとあってもいいかなと思いました」。メジャーに投じた70球は、投手藤浪の財産となった。【佐井陽介】