IWGPヘビー級選手権王者オカダ・カズチカ(28)が、挑戦者で長く東京ドームに君臨した棚橋弘至(39)を36分1秒、レインメーカー3連発で打ち破った。

 昨年、引退した天龍源一郎氏(65)が、引退試合で戦い、IWGPのベルトを守ったオカダ・カズチカについて語った。「無色透明で、人間くささがない。でも、素材はあるし、いいレスラーだよ。これから人生経験をしたら、いいレスラーになる」と評した。

 天龍とオカダの試合は、昭和のレスラー対平成のレスラーという見方もされた。昭和と平成のプロレスの違いについて天龍氏は「今のプロレスをやらせたら、(体操の)池谷幸雄に誰もかなわない。オレたちがやってきたプロレスというのは、その人の生きざまを見せるもの。生きてきた何かが見えるから、見る人が『あいつが頑張っているから、オレも』となるんだ」と説明した。

 天龍氏には、現在のプロレスは誰がやっても同じに見える。それに対し、やっている選手の顔が見えるのが昭和のプロレスだという。その言葉をオカダに伝えると「ボクは無色透明でいいですよ。ボクは、誰と戦うかで色が変わってくる。すべて色が違うんだから、その人に合った色を出して、その人を上回る色になればいい」と言い放った。

 それでも、人生経験という部分では、オカダの考え方も変わってきた。最近は「結婚したい」と口に出して言うようになった。新日本との契約時に入っていた「結婚禁止」の条項も、16年の契約更改でなくなった。生活の充実が自分のプロレスを進化させる。30代で1人前といわれるプロレス界で、20代でトップに上り詰めたオカダ。天龍氏が言うように人生経験という色がついていったら、とてつもないレスラーになるに違いない。