政府は25日、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備えた総合的な基本方針を発表した。患者が大幅に増えた地域では、重症患者の治療を優先。一般医療機関でも感染が疑われる人を受け入れるほか、軽症の人はできる限り自宅療養をしてもらい、医療資源を確保。患者に長期間接触した人に限らず、広く外出自粛を求めることも検討する。

安倍晋三首相は「患者の増加スピードを可能な限り抑え、国内での流行を抑えることが重要」と強調。加藤勝信厚労相は、飲み会などについて「できるだけ避けてほしい」と要請した。

基本方針は、国内で小規模な感染患者の集団(クラスター)が見つかっているとして、感染拡大につながらない行動を呼びかけているが、具体性には乏しい。野党は「これまでの取り組みの延長線上で、危機感が感じられない」(立憲民主党の福山哲郎幹事長)と批判している。福山氏は会見で、イベント開催の是非に関する記述の曖昧さに言及。共産党の小池晃書記局長も、軽症の人の自宅療養方針について「過度に強調しすぎると重症化を招く危険がある」と指摘した。

基本方針は示した政府だが、そもそもこれまでの拡大防止策には国内外で不安と不満が根強い。安倍政権を支えてきた株価にも影を落としつつあり、政権には危機感が募っている。