巨人小久保が鼓膜裂傷、40分後に練習強行
巨人小久保裕紀内野手(34)が8日、宮崎キャンプの木の花ドームでのフリー打撃で、跳ね返った自打球を右耳に当てるアクシデントに見舞われた。宮崎市内の病院に向かう際「音が聞こえへん」と訴えた。診察で鼓膜に傷がつく「外傷性鼓膜裂傷」と判明、全治2週間と診断された。しかし、約2時間後には、再びドームに戻り、真っ赤な耳のまま約40分間、ティー打撃を敢行した。V奪回を目指す巨人の新キャプテンが見せた意気込みに、原辰徳監督(47)も驚き、感心するばかりだった。
午後1時25分すぎ。ドームが静まり返った。小久保が打撃ケージ内で頭を押さえてうずくまり、動かない。隣の小坂が心配そうにのぞき込んだ。気付いた原監督がすぐに練習を止めた。約15分間のアイシング後、病院に向かう小久保は右耳を真っ赤に腫らして「病院に行かないと分からへん。音、聞こえへんから」と声を絞り出した。「恥ずかしい…」とも言い残した。
アクシデントは、フリー打撃の際に起こった。3つ並んだ打撃ケージのうち、小久保の入った真ん中のケージは、機動力野球を重視し、右打ちを徹底することが取り決めとなっている。“右打ちし過ぎた”打球は、真横に伸びてケージ内の骨組みに当たり、強烈に跳ね返った。バットを振り切り、小久保は無防備な状態だった。ヘルメットは右打者用の片耳タイプ。右耳にボールが直撃した。
午後2時すぎから宮崎市内の病院で受けた検査の結果は「外傷性鼓膜裂傷」。球団関係者によると、1円玉大の鼓膜にタテに傷がついたという。特別な加療は必要なく、2週間ほどで自然に治癒する見込みというが、一瞬、ドームが凍りついたほどのアクシデント。宿舎に戻り、静養するかと誰もが思った。
ところが治療からわずか40分後の午後3時20分、小久保は木の花ドームに再び姿を見せ、バットを振り始めたのだ。「触れば痛い」という右耳はまだ赤かったが、約40分間のティー打撃を敢行。打ち終えた小久保は「大丈夫だよ。こんな程度で休めない。明日(9日)も通常メニューの練習をします」と平然と話し、そのまま筋力トレのため武道館へと向かった。
巨人3年目の今季はキャプテンに就任。声で、態度で、チームを引っ張っている。バントシフトの際には積極的にやじを飛ばす。「コラッ」「声小さいぞ」。小久保は「ダイエー時代には、一塁の松中とやじりあって盛り上げたものです。お客さんの反応も楽しかった」と語る。かつて、ひざに重傷を負っても練習する姿に、ダイエーナインが奮い立った。ソフトバンクに至る黄金時代を築いたその雰囲気を、巨人に注入しようとしている。この日の姿も、キャプテンの責任感からにほかならなかった。
新キャプテンに指名した原監督は「休めと言っても休まないね。素晴らしい。本当に心強いです」と感心した。清武球団代表も「オレ、ビックリしちゃったよ。あの根性には」と驚いた。「まだボワーとしていて、よく聞こえない」と、完全に聴力は回復していない。それでも、小久保の信条に「休む」はない。【金子航】
[2006/2/9/09:16 紙面から]
写真=病院から戻って練習を行った小久保は、ティー打撃後、地面に座り込み顔をしかめる
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