
2004年12月29日更新
北朝鮮なんて「フツー」だぜ!
サッカーライター:吉崎英治
最終予選の初戦の相手、北朝鮮代表については、02年以降、3度ほど直接試合を取材し、亡命した元協会関係者に1度インタビューしたことがある。
最近では11月17日のW杯1次予選最終節(対UAE、アウエー)を取材し、12月の末には韓国経由の情報をざっくりと収集してきた。
この結果、出てきた答えは…
2月9日の試合は、自信を持ってOK!
ということだった。
02年の冬に話を聞いたユン・ミョンチャンさん(90年代の北朝鮮チーム団長。00年に亡命)は、「朝鮮サッカーとは体力をベースとした、全員攻撃・全員守備を身上とするもの」と言った。
伝統のスタイルを引き継ぎチームを最終予選に導いたのは、04年年始からチームの指揮を執るユン・ジョンス監督。北朝鮮サッカー事情に詳しい韓国サッカー記者によるとユン監督は「ロングボール、カウンターがベースのイングランドスタイルを加味している」のだという。
だが、11月17日のUAE戦を見る限り「それほど恐れることもない」という印象を持った。
小柄でスピーディーな攻撃陣は脅威になりうるが、なにせ攻撃がワンパターンなのだ。守備もイージーなクリアミスが目立った。
この日のフォーメーションは、3−5−2。中盤は4人をボックス型に配置し、中央に「北のヨン様」こと、15番のキム・ヨンジュンが入った。(基本フォーメーションは、ワンボランチの4−4−2)
「北のヨン様」は注目選手の1人。まわりの選手が小柄でスピーディーな「働きバチ」スタイルであるのに対し、180センチの堂々とした体格で、ピッチの中央に“でーん”と構える。チームで唯一と言えるほどの柔軟なテクニックと、左右両足を自由に扱い、パス配分する姿はまさに「ヨン様」(ちなみにルックスはいたってスポーツマン…)。
だが、逆にこの「ヨン様」のラインが断たれると、攻撃はワンパターン化する。UAE戦では後半13分に先制され「ヨン様」に疲れが出始めると、やみくもに相手の深いDFラインにスピードで突っ込み、自滅した。
この日は、1次予選の得点王ホン・ヨンジョが欠場したが、基本的には小柄で一本調子のチームであることには違いはないだろう。こっちの監督は、百戦錬磨のジーコなんだから(!?)恐れることはない。
それに、この国は政治のことではごちゃごちゃ言われているが、サッカーに関わる人たちは、いたって「普通の人」なのだから。
忘れられないのが、前任のリ・ジョンマン監督とキム・ジョンマン団長。02年2月、シンガポール―北朝鮮戦(親善試合)を取材した時のことだ。
試合後、スタジアムの中で迷い、あちこちドアを開けて出口を探していると、なんと・・・ シンガポール協会が準備したビュッフェ式の食事をとる北朝鮮チーム一行が。
前日練習から顔を合わせていた、キム・ジョンマン団長とぱっと目が合った。
団長、ニコッと笑顔で一言。
「おい、一緒に食っていけ」
(ホントに一緒に食べました。ちなみに若手選手は、国際経験が少ないからか、日本記者をほぼ無視。年配のリ・ジョンマン監督は「平壌に取材に来い」なんて冗談も。とりあえず、「簡単には行けないでしょう!」とツッコミを入れときました)
6月の平壌での試合に関しては、確かにまだ分からないところもある。だけど、2月のホームゲームに関しては、もう「謎のチーム」だとか変な不安をあおるのはやめよう。
予想スコアはズバリ、3−0で日本の勝ち。 ブイブイブイっと行って、イランとのアウエーゲームの心配でもしましょう。
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吉崎英治(よしざき・えいじ)

1974年(昭49)、長崎県生まれ。サッカーライター。99年、大阪外大朝鮮語科卒。日本、韓国のトピックスを中心に週刊サッカーマガジン、ナンバーなどに寄稿している。
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