セリエA1加藤が提言「日本バレー、世界をマネろ!」

アタックを決めるトレビゾの加藤陽一
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日本バレー復活へ、まずはマネることから始めよう−。昨季、日本人男子バレーボール選手として初めてイタリアプロリーグのセリエA1トレビゾでプレーし、リーグ優勝に貢献した加藤陽一(26)が、世界最高峰のリーグで得た経験をもとに日本再生のカギについて語った。「セッター技術の向上」「センター戦の強化」「Vリーグのプロ化」「外国人枠の見直し」「ジュニアからの環境整備」の5項目を挙げ、強豪外国勢に学ぶ必要性を強く主張した。
かつて男女とも世界の頂点を極めたバレーボールが、低迷を続けて久しい。日本が開発したコンビプレーや1人時間差攻撃を中心に70年代までは世界の戦術面をリードしてきたが、男子は77年W杯銀、女子は84年五輪銅を最後に五輪、世界選手権を含めた主要3大会のメダルから遠ざかっている。高さを誇る外国勢が、日本が編み出した技術を完全にマスターしたことで立場は完全に逆転した。5〜6月に行われた男子ワールドリーグ(WL)予選はギリシャ、フランス、チェコと同組で3勝9敗で最下位に沈み、決勝ラウンド進出はならなかった。そんな日本に再生への道筋はあるのだろうか。
加藤 昔はこうだったという郷愁はショーウインドーに飾りましょう。ブラジルやイタリア、スペインの技術を学ぶ姿勢が大切。彼らは決してパワーも高さもずば抜けているわけではない。今までは外国が日本をまねてきた。これからは日本がまねて、考えて、そこからスタートしないと。
WLのイタリアの平均身長は197・5センチで、日本は192・4センチ。決定的な差ではない。昨季、イタリアの高いレベルに身を置いたことで、国内にとどまっていては分からないさまざまな問題が見えてきた。
加藤 日本は小技がうまいとされている。でも基本のオーバーパスやアンダーパスは、日本人以上に丁寧で正確。センタープレーヤーでもレシーブできる。基本的な動作が、そのまま世界との差になっている。
WL終盤4試合に出場して日本の弱点もはっきりした。加藤はセッターとセンターの技術向上の必要性を力説する。
加藤 イタリアでは点が欲しい場面で必ずいいトスが上がる。サーブレシーブが乱れても、確実な2段トスが来る。セッターの身長も高い。モデナの205センチのセッターは、クイックの時ボールを置くだけ。落差がないので、相手ブロックもコースを読めない。日本では勝負どころでいいトスが上がらないケースが多く、アタッカーがカバーしている。ボールの下に潜れと教える指導者が多いが、向こうはジャンプトスが主流。センターも、クイックとブロックを磨かないといけない。
外国の育成環境や体調管理にも学ぶべき点は多い。
加藤 日本は学校教育の一環で卒業するたびに指導者が代わる。海外はクラブ組織なのでジュニアからトップレベルの練習をしているし、指導者の質も高い。トレビゾでは月1回は血液や体脂肪をチェックするが、日本では自己管理に任せられてしまう。
Vリーグの外国人枠にも問題があると指摘する。外国人2人制から1人制になって依存度が高くなった。
加藤 外国人の技量がチームのすべてになってしまう。2人制の時代より、練習も試合も質が落ちた。外国人に合わせた練習になってしまうから。プロ化も含めて、Vリーグのシステムは見直した方がいい。
道のりは平たんではない。しかし、現状に甘んじていては世界からますます取り残されてしまう。日本協会は先日の理事会でユース育成強化を確認した。お家芸復活は長期的視野に立ち、地道な努力が求められる。【岡山俊明】
◆加藤陽一(かとう・よういち) 1976年(昭和51年)8月12日、大分市生まれ。大分工−筑波大−東レ。93年世界ユース2位、96〜98年インカレ優勝。98年全日本入り。02年10月にイタリア・セリエA1のトレビゾ入り。初シーズンで優勝に貢献した。安定したレシーブが持ち味だが、コースを狙うスパイクも一級品。190センチ、82キロ。公式ホームページは http://www.players-site.com/kato/
◆来季も残留希望 加藤には現在日本、イタリア以外からも来季のオファーが舞い込んでいる。本人は「イタリアがなぜ強いのか。もう少し向こうでやって、自分自身納得できる結論を出したい。将来指導者になった時に役立てられる。新しい技術の発想も浮かぶかもしれない」と話し、引き続きイタリアでのプレーを望んでいる。リミットは8月末としているが、外国人4枠が埋まってしまう可能性があり、早期決着を目指す。
バレー界栄光の時代
男子は3大大会で唯一金メダルを獲得した72年ミュンヘン五輪が絶頂期。松平康隆監督の下で移動時間差攻撃を中心にさまざまな戦術を生み出した。殿堂入りした森田の1人時間差やドライブサーブ、猫田の天井サーブは、中学校の部活動でも盛んに取り入れられた。女子は64年東京五輪で優勝した河西ら「東洋の魔女」がブームの火付け役になり「サインはV」「アタックNO・1」などのドラマやアニメが人気を博した。
バレー界の現状
サッカーJリーグに触発されて94年に立ち上げられたVリーグは、98年にプロ化が予定されていたが不況と日本代表の弱体化で撤退する企業が相次ぎとん挫した。だが今年5月、あらためて将来のプロ化を視野に入れた組織改革がスタート。また従来は企業に全面的に依存していたが、新日鉄堺がクラブ法人化され(ブレイザーズ・スポーツクラブ)地域密着型の総合スポーツクラブに生まれ変わるなど、欧州同様の形態が浸透し始めている。ただし多くの選手は社員として活動しており、プロ契約を結ぶ選手も飛び抜けて年俸が高いわけではない。
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