国際オリンピック委員会(IOC)が21日、公式サイトから「安倍晋三首相」の名前を削除した。20日付で公式サイトに掲載したQ&Aで、大会延期の追加費用について「日本の安倍晋三首相と引き続き日本側が負担することで同意した」などと一方的な見解を示した問題について、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会からの削除要請に応じ、当該部分の記述を削除する対応を取った。

「大会を延期することによる財政的な影響は何か?」との質問項目で、新型コロナウイルス感染拡大による延期で約3000億円規模の追加コストが見込まれている点に言及。当初は「日本の安倍晋三首相と、既に合意した現行の契約条件下、引き続き日本側が負担することで同意した。IOCが、その費用となる数億ドル(数百億円)を分担することでも合意している」と記していたが、組織委から「安倍首相の名前を引用したことは不適切。IOCとの(16日の事務折衝での)双方合意を上回る記述もある」との指摘を受け、撤回した。

その上で「日本政府は、大会を成功させる責任を果たす準備ができている、と繰り返し述べている。同時にIOCは東京五輪の成功へ全面的に協力することを強調した。IOCと組織委を含む日本側は、延期によって起こる影響を共同で評価し、議論していく」との無難な表現に差し替えた。

これに先立ち、組織委は「コストを含む延期による影響については、先週(16日)のエグゼクティブ・プロジェクト・レビュー(幹部事務折衝)において、これが双方共通の課題であることを確認し、今後、共同でそれらすべてについて評価し、議論していくことで合意されたと認識しています。3月24日の安倍総理と(IOC)バッハ会長の電話会談では、費用負担について取り上げられた事実はなく、双方合意した内容を超えて、このような形で総理の名前が引用されたことは適切でないと考えています。そのため、該当箇所については削除するよう申し入れています。いずれにせよ引き続き、この共通の課題についてIOCと日本側は共同で評価し、議論を進めて参ります」との公式コメントを出していた。