先月の宮崎旬の情報でお伝えしていた日南市(宮崎県)でのペアボート乗船会は、今年もたくさんのお客様に喜んでいただきました。今回で2回目の参加となった大山千広選手(22=福岡)も「本場のない地域でも、こうしてボートを身近に感じてもらえるっていいなと思いました。去年、初めて来たときから歓迎してくれてるのが伝わってきて、すごくうれしかったです」と、翌日のボートレースチケットショップ高城でのトークショーと合わせて盛り上げてくれましたよ。今回は、その大山千広選手のお話です。

7月21日に宮崎県日南市の油津港で行われた、ペアボート乗船会に参加した、左から石川真二選手、大神康司選手、田中宏樹選手、池田奈津美選手、大山千広選手、戸敷晃美選手(宮崎県日南市提供)
7月21日に宮崎県日南市の油津港で行われた、ペアボート乗船会に参加した、左から石川真二選手、大神康司選手、田中宏樹選手、池田奈津美選手、大山千広選手、戸敷晃美選手(宮崎県日南市提供)

 選手になったきっかけはもちろん、お母様の博美さんのボートレーサーとしての活躍を幼いときから見ていて、一番身近にあったから。「男の人とかと一緒にレースしてるのがすごく格好良くって、自分もボートをやったら格好いいしすごく楽しいんじゃないか? という気持ちが強くなっていって、それ以外の選択肢は思いつかなかった」と言います。

ボートレースチケットショップ高城でトークショーを行った大山千広選手(右)
ボートレースチケットショップ高城でトークショーを行った大山千広選手(右)

 やまと学校(現ボートレーサー養成所)にも一発で合格した千広さんですが、ボートに乗らない最初の2カ月くらいは、決まり事も多く、分刻みの学校生活にずいぶんしんどい思いもしたそうです。でも、それを知ったお母様からの「せっかくやまとまで行ったんなら、一緒に走りませんか?」という手紙に励まされ乗り越えられたとのこと。

 その頃のことをお母様に伺うと「ボート選手になりたいって言った時は“うーん、そう言うかぁ”という感じでした。自分は選手になって良かったけど、勝負の世界でそれを続ける大変さって、ケガとかも含めてどうなのかなぁ。って思って勧めることはなかったですねぇ。でも、やまとに受かったことは大きくて、受かった以上は本人の夢でもあるんだから応援せないかんなぁという気持ちに変わっていって…だからこそ、あんなに思い続けたのにここでやめたら後悔するんじゃないかって思って」と手紙に込めた思いを語ってくれました。

 こうして誕生したボートレース界初の母娘のレーサー。千広選手に聞くと「小さい頃からなりたかったし、いつかそうなると思っていたのでそんなに特別な感じはしなかったですねぇ。それくらい身近にボートがあったんですよね」と普通に話します。

 デビューしてから約1年で初めて同じあっ旋となり、そこから数えて3回目の同じあっ旋(若松)で初白星を挙げた千広選手。しかもそれは、母・博美選手と同じレースでした。

 「1M回った時、娘が前にいたから“わぁ、ここなんやぁ”と思ってうれしいやら、うれしくないことはないけど『前、走られるの早かったなぁ』と思って…でも、思い出のビデオに一緒に映ることができたし、水神祭でも一緒に飛び込めたからいい思い出です」と母の本音を教えてくれた博美選手。

 千広選手もその思いはしっかり感じているようで「水神祭の時に『おめでとう!』と言ってくれてすごくうれしかったです。普段、自分(母)からは絶対言わないけど、私が『ここでこういうレースの時』って言ったら全部知っててくれる。全部見てくれてるんだなぁと思って…。言わないけど応援してくれてるのが分かるし、この母の娘で良かったって思います」と優しさに包まれた柔らかい表情を見せてくれました。

笑顔でピースサインの大山千広選手(左)と母・博美選手(写真は15年9月、芦屋オールレディースでのもの)
笑顔でピースサインの大山千広選手(左)と母・博美選手(写真は15年9月、芦屋オールレディースでのもの)

 今後の目標を尋ねると「今期は絶対A1になりたい!! (所属している)福岡の女子は、貪欲ですごく熱心で見習うところがある人がホントに多いんで恵まれた環境だなぁと思います。そのいい環境でしっかり成長して、ちゃんと男子も一緒の一般戦でもA1の勝率を取りたいです!」とキリっとした表情に変わって答えてくれました。

 この後8月30日から、若松でのオールレディースでも母娘同時あっ旋となっています。どんな共演を見せてくれるのか楽しみですね。

 
 

 千広選手の初優勝の時、他場にあっ旋されていてちょうど宿舎に帰る時だったという博美選手。「終わったらみんな(選手)が“優勝した”って教えてくれて、うわぁ! と思ってリプレーを見ました」との話に「(ライブじゃなくて)リプレーですか?」と尋ねると「怖くて見れないんですよ。だいぶ寿命を縮めるからねぇ。一緒のレースになっても、気になってしょうがないから疲れます。陸の上で何してるんやろう? とか、あー走り回りよるなぁとか、次は何するんやろう? とか、ついつい目で追うんだと思います」と温かい母の愛情いっぱいの話を聞かせて下さいました。

大山千広選手のサイン色紙
大山千広選手のサイン色紙

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