平本真之(32=愛知)がインから逃げ切って、オールスター初制覇を成し遂げた。SG優勝は14年グランプリシリーズ以来2度目。推薦枠出場のオールスター優勝は史上初の快挙となった。獲得賞金は4900万円を超え、ランキングは2位に浮上。初のグランプリ出場へ大きく前進した。2着は重成一人、3着は峰竜太だった。

 ウイニングラン、スタンドを埋めたファンから「ひらもとーっ」と大歓声が上がった。平本は懸命に手を振って応える。そこには、開会式で「ファン投票じゃ来れナインジャー」と叫んだ男の姿はなかった。推薦枠出場から史上初の優勝。1番人気に応えて逃げ切った。ファンのハートをがっちりつかんだ勝利だった。

 6年越しのリベンジだった。11年児島グラチャン、優勝戦1枠でインから痛恨のコンマ22。6着惨敗を喫した。最終日も、頭をよぎることはあったという。ただ、「あの時」と「今の自分」は違うと強く自覚していた。「あの時はスタートで失敗した。成長できてましたね」。最後はコンマ10の全速スタートだった。見事な踏み込みだった。

 表彰式には元選手のさやか夫人と愛息の悠人くん(はると、3)が駆け付けた。舞台裏で息子と抱き合った。「うるっときた」。果敢なスタイルが売りだが、素顔は子煩悩な1児のパパだ。さやか夫人は「めちゃめちゃイクメンです」と話す。時には家事もこなし、料理も作る。中華料理が得意で「僕がギョーザを焼いてあげる」と腕をふるう。悠人くんはパパが大好き。平本が帰宅すると、べったりだという。夫人は「息子と私で、パパの取り合いになる。ママあっち行って、なんて言うんですよ」と笑う。家族に支えられての、2度目の戴冠だった。

 賞金ランキングは2位に浮上、初のグランプリ出場へ大きく前進した。「それよりも次の蒲郡グラチャンです」。地元でSG連続Vを狙う。【網孝広】

 ◆平本真之(ひらもと・まさゆき)1984年(昭59)5月5日、愛知県生まれ。05年5月、96期生として蒲郡でデビュー。初優勝は08年4月の常滑。G1は12年2月の芦屋周年で初優勝。SGは14年12月の平和島グランプリシリーズで初制覇。G1優勝3回。SG優勝2回。159センチ、52キロ。血液型A。