アルガルベ杯のなでしこジャパン招集を見送られたINAC神戸MF澤穂希(36)が5日、神戸市内でのチーム練習後、初戦のデンマーク戦について言及した。立ち上がりの失点などで1-2と敗れた日本に対し、仲間を思いやるような優しい表情で約10分間、思いを明かした。日本は今日6日、地元ポルトガルとの第2戦に臨む。

 澤にとっても悔しい黒星スタートだった。格下のデンマーク戦で前半2分にミスから失点。午前練習に備え、布団の中から仲間を見つめた。目を当てられない場面にまぶたを閉じると、そのまま眠りに落ちた。

 「前半の10分見て、寝ちゃった。話を聞くとあまりいいサッカーではなかったみたいですね。厳しい言い方ですけれど、W杯優勝には結果がすべて。みんなが目をこすりながらでも見られるくらいの楽しいサッカーを期待したい」

 今回は右膝の具合を佐々木監督に考慮されて招集されず、背番号10は空き番号となった。これまではピッチの中で鼓舞して澤が立て直してきた。だが、MF宮間を中心にもがき、攻守に混乱は続いた。11年W杯初優勝の主力だったDF岩清水、熊谷がパスや判断のミス。MF安藤のゴールで追いついたものの、後半13分には決勝点を奪われた。

 「宮間選手が1人で負担になっちゃうのは大変だと思う。一緒にいてあげられなくて申し訳ないなと思う。苦しいが、いるメンバーでしかどうにもできないので、力を合わせてもらいたい」

 11年初戦も米国に負けた。W杯直前にも米国に乗り込み、たたきのめされた。それをいい教材に頂点に登り詰めた経験もある。だからこそ悲観しない。

 「W杯に入っても(1次リーグで0-2で)イングランドに負けて、得るものがあった。日本代表としての誇りを持って、楽しんでもらいたい。負けをムダにしなければいい。ポジティブにいかないと」

 アルガルベ杯はあと3戦。澤は連覇への教訓とすることを願う。もう1度「10」を背負うことも諦めてはいない。