U-22日本代表を、伝説の五輪戦士が支えている。秋葉忠宏コーチ(39)。ブラジルから金星を挙げた「マイアミの奇跡」で知られる96年アトランタ五輪の代表で、経験を買われて昨年12月からチームに加わっている。就任以降、手倉森監督が「俺より声が大きい」という明るさで盛り上げているが、本人は「俺の声が1番じゃダメ。『秋葉しゃべるな』ぐらいじゃないと」と選手を鼓舞している。

 現役時代は市原(現千葉)や新潟でJ通算404試合に出場した守備の職人。アトランタ組18人の中で最初のJ監督として、13年にJ2群馬で監督になった。

 19年前の予選も今回と同じセントラル方式(短期集中開催)だった。「ホームアンドアウェー方式と違って負けてもすぐ次の試合がくる。負傷や風邪を治す時間もない。はねのける精神と体調管理が絶対」と心得を説く。最終予選1カ月前の95年2月には、FW小倉が右膝後十字靱帯(じんたい)を断裂。「『小倉の分まで俺らが』と切り替える以外になく、戦う集団になった」ことを覚えている。

 この地は最終予選の舞台でもあった。「試合会場、ホテル、練習場。すべて当時と同じ」と笑いながら「自分の経験を、どんな強弱で伝えればいいか考えている」。縁のある国でまた予選突破に導く。【木下淳】