MF稲本がバーレーン戦のキーマンになる。日本代表は17日、W杯アジア3次予選バーレーン戦(26日、マナマ)に向けて関西空港から直前合宿地のドバイへ出発した。岡田武史監督(51)は同組の最大のライバルとの過酷なアウェー戦を前に、フランクフルトMF稲本潤一(28)をキーパーソンに指名。代表や欧州リーグで逆境を乗り越えてきたタフガイに期待した。

 関西空港に到着すると岡田監督は重い口を開いた。今後の日程や劣悪なバーレーンのグラウンドの話題には歯切れが悪かったが、稲本の話に移った途端に表情がゆるんだ。「イナ(稲本)とは初めて(会う)。五輪代表で見たことはあるけど、直接はないんだよね」と初対面を心待ちにしている口調だった。

 アウエーでのバーレーン戦が3次予選最大のヤマ場になる。岡田監督は「タフな試合になる」と明言した。そしてすぐにこう続けた。「イナはフィジカル面でもタフだ。チームのプラスになってくれると思う」。これまで会見でも選手個人を具体的に評することはなかった指揮官が、「キーマン」として稲本の名前を挙げた。期待の大きさを感じさせた。

 理由がある。現地を視察した関係者によると、バーレーンのグラウンドは劣悪で、凹凸も激しい。しかも、気温40度前後の酷暑が予想される。中東の選手は当たりも激しい。そんな逆境のアウエー戦を前にして、欧州リーグでハードな対人プレーを経験してきたタフガイの存在は何よりも心強かった。

 稲本はU-16(16歳以下)日本代表時代から中東での試合経験が豊富で動じることはない。さらに国際Aマッチでも対中東7勝1敗という実績もある。本人も「他の選手より経験を積んでいるから、それを生かしたい」と気合十分。ボランチでの起用が予想されるが、積極的に攻撃参加して決定力を秘めたミドルシュートもある。20日のコトブス戦終了後、ドイツからドバイの代表合宿に合流する。【井上真】