岡田武史監督(51)の計算が大幅に狂った。キリン杯(24、27日)の代表メンバーは15日に発表されるが、期待していたバーゼルDF中田浩二(28)は手術を受けた右ひざを検査した結果、状態が悪く招集を断念。相次ぐケガ人に「誤算だらけ」と弱気な言葉も飛び出した。攻守の核となるボランチは、鈴木啓太(26)の体調不良などで不安たっぷり。6月のW杯3次予選4連戦に向けて、岡田ジャパンがピンチに立たされた。

 岡田監督は自嘲(じちょう)気味に言った。「誤算だらけだよ」。東京・文京区のJFAハウスで行われた代表スタッフ会議。15日に発表するメンバーは固まったが、当初の構想とは違った。「中田は無理。鹿島から連絡があって、とてもプレーできる状態ではないといっていた」。期待していただけに、そう話す表情は残念そうだった。

 中田が4月に右ひざを手術した後も、代表スタッフを通じて連絡を取り合っていた。順調な回復ぶりを聞いて、8日には「リーグ最終戦(10日)に出られるかもしれない。キリン杯に帯同する可能性もある」と喜んでいた。ボランチでの起用まで示唆した。しかし、この日午前中の検査で無理であることが判明。招集を断念するしかなかった。

 左腓骨(ひこつ)を痛めているフランクフルトMF稲本は「手術を受けるというので」と、すでに招集を断念していることを明かした。欧州組のうちボランチとして期待する2人が、ともに呼べなくなった。浦和のMF鈴木も体調不良から約1カ月ぶりに練習復帰したばかり。3次予選4連戦に向けて、経験豊富で身体能力が高いボランチが必要だったが、計算ができなくなった。

 どんなに素晴らしい選手でも、ケガでは起用できない。「これからもケガ人が出るかもしれないし」と岡田監督は言った。Jリーグで疲労がたまった選手の体調を考慮し、当初19日開始の予定だった合宿は20日からになりそう。それほど選手のコンディションを気にしていただけに、ショックは大きい。「お手柔らかに頼むよ」。岡田監督は力なくそれだけ言うと、JFAハウスを離れた。【荻島弘一】