日本サッカー協会は24日、来年1月20日のアジア杯最終予選初戦のイエメン戦(熊本)に臨む日本代表23人を発表し、J2C大阪のMF乾(いぬい)貴士(20)が初招集された。横浜から移籍した今季、頭角を現した攻撃的MFで、滋賀・野洲高時代にセクシーサッカー旋風を巻き起こしたドリブラーが、岡田ジャパンに新風を吹き込む。乾と神戸DF石櫃(いしびつ)洋祐(25)、川崎FのMF谷口博之(23)の3人が初招集された。

 あっと驚くクリスマスプレゼントが届いた。C大阪のクラブハウスでの緊急会見で乾は、困ったような表情を浮かべていた。

 乾

 ビックリしました。何を言えばいいのか、イマイチ分からないですね。チームで試合に出ることしか考えていなかったし、代表なんて意識できるような感じじゃなかった。昔からクリスマスプレゼントなんて、もらったことないですもん。彼女もいないし…。

 20歳の若者にしては珍しく?

 予定がない寂しいイブになりそうだったが、代表に初選出されたことで午後4時から会見。その後は新幹線に飛び乗り、古巣横浜へあいさつに向かうというドタバタの1日。「ここまで育ててくれたC大阪、横浜の方に感謝したい。どれだけ通用するか分からないけど、全力で頑張ってきます」と謙虚に言った。

 横浜で出番に恵まれず、出場機会を求めて今季途中からC大阪に移籍。ドリブルだけでなく、パスセンスもある攻撃的MFとしてリーグ戦20試合6得点と結果を出した。J1での実績はない。北京五輪の代表候補には選出されが、本大会には出ていない。それでも若手の台頭に期待を寄せる岡田監督は選んだ。

 野洲高ではエースとして全国高校選手権で初優勝し、“セクシーサッカー”で旋風を巻き起こした。当時、岡田監督率いる横浜の練習に参加したが「緊張して、からめなかった」。代表で岡田監督と再会するのも、巡り合わせかもしれない。20歳の若き力が、岡田ジャパンで鮮烈デビューを狙う。【益子浩一】