16歳のG大阪FW宇佐美貴史が、日本代表岡田武史監督(52)から指名を受けた。日本協会は14日、U-20(20歳以下)日本代表候補28人を発表した。20日から静岡県内で3日間行われる合宿では、A代表スタッフが直接指導。岡田監督は「どういう選手か見てみたい」と、U-17日本代表のエース宇佐美を飛び級で選出した。まだJリーグでデビューもしていない最年少が「秘密兵器」となるきっかけをつかんだ。

 16歳の天才が、岡田監督のお眼鏡にかなった。将来の日本を背負う逸材と言われる宇佐美が、飛び級でU-20日本代表候補に選ばれた。岡田監督は「前から直接、見たかった選手。17歳は世界のウリになってるから」と説明。この日はオフだった宇佐美はクラブを通じて「少しでもレベルアップできるように頑張ります」とコメントを発表した。

 今年1月下旬からのU-17代表のメキシコ遠征では5戦7発と大暴れ。ドリブルが得意で決定力も高く、決定力不足がたびたび指摘される今の岡田ジャパンに最も求められている人材と言える。一方、今季からトップ昇格したばかりのG大阪ではまだ1度も出番はない。それでも、今合宿で岡田監督に認められれば、6月のW杯予選に出場する可能性もゼロではない。原技術委員長は「今回のメンバーは日本代表候補と思ってもらっていい」と、あくまで今後のA代表の戦力として期待していると強調した。

 前日にU-17代表に選ばれたばかりで今回は“掛け持ち”となる。各世代で引っ張りダコなのは期待の高さの表れだ。小学生時代を指導した長岡京SSの小島重毅監督(48)は「あいつのいいところは負けん気の強いところ。年上の選手とプレーしても、びびったりしない」と太鼓判を押した。

 「W杯まで丸1年ある。この年代は劇的に変わる選手もいる」と話す岡田監督は、98年W杯フランス大会前に当時17歳のDF市川大祐(清水)を日本代表に抜てきしている。「ボールがないところで、どれだけ動けるか。少しずつ課題を克服したい」と繰り返し、マンチェスターUでのプレーを夢見る天才が、岡田ジャパンの秘密兵器となるかもしれない。【奈島宏樹】