<本田インタビュー1の続き>

 本田にはいつも、移籍のうわさが飛び交う。1月31日には、欧州の移籍市場が閉まった。今後、どういう道を歩むのか。

 「興味を持ってくれているクラブは複数ある。だけど、俺が今、言えることは何もない。移籍が実現するか、どうかは(クラブ間も含めた)いろんな思惑もあるからね。今後、実現するか、どうかは俺の知ったことじゃないよね」

 この冬も、さまざまな移籍報道が流れた。自らが知らないところで、あたかも移籍が成立するかのような記事が続出する。そこに拭い切れない違和感がある。

 「これだけは言いたい。間違った(移籍)記事を書いて、ビジネスをしているメディアがたくさんある。俺は、そういうことを覚えているからね。ふざけた移籍の記事が出る度に、俺はいろいろ聞かれる。周り(の知人)は気にしているから。移籍するの?

 移籍するらしいな?

 って。俺は、そういう記事を信じるな。毎回、そう周りに言っている。でも信じるな、と言うことが、ネガティブなことでしょ。俺にそんなことを言わさないでほしい」

 移籍だけではない。直撃取材を受け、真実を語ろうとしても、違った論調や口調で掲載されてしまうことが多くある。昨年末には、月刊誌に1人称で政治観が掲載された。

 「俺が言ったことと、内容が変わっている。全然違うんよね。俺はリスクを背負って話をしているのに、しかも、俺のコメントで、あんな風に出てしまうことがある。しゃべり口調も違うしね。俺がこだわって話をしても、そういうこと(間違った報道)になる。それに俺は納得がいかない」

 今月4日から始まった代表合宿中、本田は報道陣に口を開いていない。ラトビア戦後(6日)も取材エリアで立ち止まることなく「お疲れさま」とだけ言い残して、スタジアムを去った。この日の空港でも、ほとんどコメントすることはなかった。本田の言葉は貴重だが、本心から外れた報道が続くことで、極端に言葉数は少なくなっている。

 「試合が終わった後に、みんな俺に話を聞いてくるでしょ。でも俺が、名前すら知らん人もいるのは事実なんよね。普通、仕事でもそうでしょ。名前も知らん人と、ビジネスをしているんですか?

 そんなこと、ないやろ !

 それで、変な記事が出るからね。そんなん、おかしいやろ」

 W杯への変わらぬ思い-。そして、自らが発する言葉を巡り、真相とは違う形で報道されることへの不信感。それらはメディア側へ、突きつけられた大きな課題でもある。我々は、今後も本田圭佑の真の姿を描き続ける。