千葉が、フランスリーグ・グルノーブルFW伊藤翔(20)獲得に乗り出すことが16日、明らかになった。獲得に向けた下調べを終えた段階で、近日中に正式オファーを出す。1年間の期限付き移籍後の完全移籍での獲得を目指す。伊藤は、チームが1部に昇格した今季、監督の方針などで公式戦出場がなく、移籍を視野に入れている状況。アーセナルのベンゲル監督から実力を認められた逸材が、いよいよJの舞台に立つ日が近づいてきた。

 千葉は、新シーズンに向け外国人FW獲得を目指していたが、それを封印し、伊藤どりに全力を注ぐ。1年間、伊藤の動向に注目してきており、ようやく「適時」と判断した。週明け19日にもグルノーブルへ、正式にオファーを出す。千葉関係者は「情報を集めた結果、今ならきてくれると判断した」と明かした。

 伊藤は今季、バズダレビッチ監督の構想から外れ、出番に恵まれていない。昨年末に一時帰国した際、近い関係者に「試合には出てないけど、ヨーロッパ、アフリカの選手と練習して、当たり負けしない体をつくった。今ならJで勝負できる」と、J移籍の希望を口にしているという。50メートル6秒1の俊足に加え、渡仏前より体重は約10キロ増、フィジカル面も成長した。

 卓越したゴール感覚とシュート能力、スピードなど、FWとしての総合力は、既に実証済みだ。中京大中京高3年だった06年8月、プレミアリーグ・アーセナルのテストを受け、ベンゲル監督から「獲得したい。将来、日本代表の軸になる選手」と絶賛された。テストには合格したが、労働許可証が取れなかったため、やむなくグルノーブルを選択した。

 他にも名古屋、浦和、柏など複数チームが興味を示しているが、現段階では千葉が最有力だ。千葉の沢入重雄ヘッドコーチは、高校3年間指導した恩師で、伊藤が最も信頼している指導者でもある。欧州で苦闘しながらたくましくなったFWが、Jで大輪の花を咲かせる日は近そうだ。