ガンバ大阪の明神智和監督(48)が、就任から間もない中で確かな手腕を発揮している。
「多少の緊張はあった」という8月7日の開幕戦で浦和レッズとの打ち合いを制し、同11日にアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)本戦出場を懸けたプレーオフ(PO)江原FC(韓国)戦では敵地で延長の末に勝利。韓国から戻ってすぐのアウェー戦となった15日水戸ホーリーホック戦でもドローに持ち込んで勝ち点を積み上げ。「内容には満足していないが、結果には満足している」という状況で、22日のアウェー名古屋グランパス戦(豊田ス)を迎えた。
百年構想リーグで指揮を執ったドイツ人のイェンス・ビッシング監督が、アルイテハド(サウジアラビア)に引き抜かれ、オーストリアキャンプから急きょチームを任されることになり、開幕まで3週間を切った7月18日に監督就任。「自信がなかったらここに座っていない」と力強く話し、そこからチームづくりを進めてきた。
引退後の20年からG大阪下部組織のコーチを務め、25年からトップチームのコーチ。選手からは親しみを込めて「ミョウさん」と呼ばれる。「誰からも監督と呼ばれない(笑い)」と話すが、それも信頼の証。選手をよく知る監督だからこそ可能になる起用で、チームを前進させていく。
02年W杯日韓大会に出場したボランチは、G大阪での現役時代には現コーチの遠藤保仁、橋本英郎、二川孝広とともに「黄金の中盤」を構築。西野朗監督が率いた当時は、細かな決めごとではなく、4人の判断でチームを動かした。それもあってか、チームとしての戦い方を共有、強調しながらも、細かすぎる指示は与えず、選手に任せる部分も残している。「枠組みの中で判断してもらうのは自由。判断をしっかり持つことはもっとやって欲しいし、もう少し求めていきたい」。絶妙のバランスで選手とチームの能力を引き出そうとしている。
限られた準備期間で結果を出せているのは、目の前の試合に集中することを強く意識しているからだ。「毎試合ずっと全力だった。練習試合でも100パーセントでやってきた」と現役時代を振り返る指揮官は、監督になってもその考えにブレはない。ACLEの組み合わせ抽選結果や、現役時代に出場したACLとの違いについて聞かれても「それほど…」と多くを語らないが、ピッチ内のことには言葉があふれる。できる限りの準備をして、試合で全てをぶつけること。その信条は変わらない。
試合ではカジュアルな服装で指揮を執るスタイル。「妻に決めてもらった」という白Tシャツに黒パンツ姿は、SNSでも「監督おしゃれ」「サイズ感がただのイケおじなのよ」と評判だが、これもピッチに集中するためだ。「決断しなきゃいけないことや、それに伴う責任が増えていて(服を)決めることがめんどくさくなるし、毎回大変になる」。ウェアを選ぶ時間すら惜しんで、勝利のために思いを巡らせている。「チームが勝つことが一番だと思っているので、そのために自分の全てを捧げたい。熱い試合、見ている人が熱狂するような試合をしたい」。そう宣言した通り貪欲に取り組む新監督が、再び強いG大阪を取り戻す。【永田淳】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)




