<J1:山形3-0大宮>◇第8節◇29日◇NACK

 若きエースが爆発し、山形が今季3度目の完封勝利を飾った。山形FW長谷川悠(21)が、前半2ゴールを挙げる活躍で、大宮に3-0で快勝。4位に浮上した。25日の鹿島戦に続く2試合連発と好調な長谷川は、得点ランク日本人トップタイとなる5得点。小林伸二監督(48)の、Jリーグ通算100勝目をド派手に祝った。日本代表入りを夢見るエースが、ゴール量産態勢に入った。

 大宮まで駆けつけた2000人以上の山形サポーターを、電光石火の1発で長谷川が熱狂させた。前半1分、右からのスローインを相手DFの裏にスルリと抜けて受けたFW古橋が、ゴール前へフワリと絶妙なクロス。巨体を投げ打って、長谷川がダイビングヘッドで突き刺す。先制弾を決めた「お祭り男」が、完全に勢いづいた。

 興奮冷めやらぬ前半13分には、古橋のシュートのこぼれ球を、スライディングでGKと接触しながら左足で押し込み2点目。「うまく反応できた」と自画自賛した。後半42分にPKを得るとハットトリックを達成させようとキッカー役を促されたが「得意じゃない」(長谷川)と拒否。3点目を決めた古橋らと「敬礼ポーズ」を決め、最後までサポーターを熱狂させた。

 2戦連続ゴールに、小林監督は長谷川の成長を感じ取った。「ワンチャンスをものにして、いい仕事をした。『チャンスが来る』と自覚して、いい準備ができていた」と、たたえた。観戦に訪れた鬼武チェアマンも「代表選手が出れば、さらに活気づく。15番(長谷川)なんか、いいんじゃない」と注目したほどだ。

 「フルさん(古橋)が動いてくれるので、やりやすい」と、アシストを感謝する長谷川。日本人最多得点で、注目度は急上昇する。「代表に行くには、もうちょっとゴール以外のプレーも重要だと思う」と話すように結果を出し続けて「その時」に備える構えだ。指揮官に「1点取れば(その試合で)何点でも取れる」と暗示をかけられているエースの目が、にわかにギラつき始めた。【山崎安昭】